インタビュー

環境パートナーシップ会議副代表理事 星野 智子さん

全国の幅広い市民が結集して、SDGs達成目指すネットワーク

 持続可能な社会を目指す日本のNGO/NPOのネットワークは、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)以来、大きな国際会議やG7サミット(先進国首脳会議)に合わせてその都度結成されてきました。そこから専門化して気候変動、生物多様性などで政策提言できるネットワークが生まれましたが、日本のNGO/NPO全体の継続的なネットワークに、人やお金を割くだけの市民力は、まだ十分ではありませんでした。

リオ+20の前に開かれたNGOと政府の対話 @EPC

同じ志を持った仲間がいればがんばれる

 私は、20代のころ、エコリーグという青年の環境活動の全国ネットワークなどに関わっていました。そのころに得た、同じ志を持った仲間が全国にいれば、何でもがんばれるという想いを糧に、持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルク・サミット=リオ+10)の際にできたヨハネスブルク・サミット提言フォーラムの事務局を務めた時から、こうしたネットワークづくりに関わってきました。

 2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、2015年が達成期限のミレニアム開発目標(MDGs)に代わる途上国・先進国共通の目標としてSDGsを策定することが決まりました。昨年のG7伊勢志摩サミットでは、MDGsに取り組んでいたメンバーが中心となり、環境関係の様々な分野のグループも加わって、2016年G7サミット市民社会プラットフォームが結成されました。このような動きを経て、MDGsやG7に取組むNGO/NPOのネットワークが再編され、SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)が生まれました。

 東海地方で活動するNPOも積極的に参加して、提言づくりに取り組み、この年の10月には東海市民社会ネットワークが結成されました。開発協力系、環境系、そして地域で活動するNPOが足並みをそろえて活動することができたのは、大きな前進です。東日本大震災や国内の地域づくり、関連で活動するNGOとも連携する動きも生まれてきています。

SDGsジャパンの設立記念シンポジウム @SDGsジャパン

課題先進国の日本の取り組み、世界が注視

 SDGsジャパンは、国内課題への対応への動きも合流して、幅広いNGO/NPOによる市民社会ネットワークとして成長しつつあり、今年2月には一般社団法人として新たなスタートを切りました。

 政府との意見交換や国際会議などの機会にNGO/NPOの声を届けたり、企業、労働組合、地方公共団体、協同組合など日本国内の様々なセクターに働きかけてネットワークづくりに取り組んだり、SDGsをより多くの人々に知ってもらい、サポートを広げるための取り組みを行ったりしています。

 世界に先駆けて少子高齢化や過疎化が進む日本には、世界各国、特に経済発展途上国がこれから経験する課題が山積しています。課題先進国と言われる日本の取り組みを世界が注視しており、日本の経験は、国際協力にも生かせるのです。SDGsは、このような課題を横断的、総合的にふかんできるチェックシートとしても活かせますし、地域の課題を発見・解決したり、仲間を発見したりするリストにもなると考えています。

市民の声が届けば暮らしやすい社会に

 リオの地球サミットから四半世紀が経ちました。NGO/NPOという言葉を知っている人も少なかった時代から考えると今は行政や企業と協働するなど、だいぶ理解いただけるようになったと感じますが、他のセクターに比べれば、まだ活動の規模は小さく、ボランティアにせよ、寄付にせよ、関わったことはない人の方が多いのが現実です。

 私は、地域のNPOの活動に関わる人が倍増して、市民の声がきちんと行政や企業などに届くようになれば、社会の多様な課題を解決して、持続可能な暮らしやすい地域社会をつくることができると思っています。

 地域の様々な課題や地球環境問題は互いに関係し合っています。地球の生命圏全体が守られなければ地域も守られないのですから、国際的なことにも関心を持ちながら、地域の課題に市民が取り組むことがますます大切になっていると思います。

キーワード【持続可能な開発目標(SDGs)】

途上国も先進国も共に17の目標達成を目指す

 極度の貧困や飢餓の解消を目指して2000年に採択された「ミレニアム開発目標」(MDGs)の流れと、国連環境開発会議(地球サミット)以来の持続可能な開発のためのエネルギー、生物多様性などの分野の取り組みとを統合し、途上国も先進国も対象にした新しい目標として、「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)が、2015年に国連サミットで採択された。相互に関連する17のゴールとより具体的な169のターゲットが定められており、各国でその実現に向けた体制が整備されつつある。

持続可能な開発目標(SDGs)

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレをみんなに
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

中日新聞朝刊 平成29年3月30日付掲載

一覧に戻る

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ