インタビュー

えこびれっじネット日本GEN-Japan代表 片山 弘子さん

人と人の関係づくりをベースに足元の持続可能な社会づくり学ぶ

 私が生まれた広島には、戦争や原爆の体験から複雑な気持ちを持った人たちがたくさんいました。子どものころには、復興に取り残されて河川敷のバラックに住んでいる人たちもいて、自分の中の差別的な意識も感じました。

 それをなんとかできないか、心底やさしい気持ちで人同士なかよく幸せに暮らせないか、というのが私の出発点でした。でも、お互い責め合ったり、安心して「失敗しちゃった」と言えなかったりで、子どものころから人と協力するのが難しかったんです。

全国各地の関係者を訪ねて話し合いを重ねる片山さん(左)=パーマカルチャー・センター・ジャパンで

安心できる環境あれば心を開いて話し始める

 今いるアズワンコミュニティ鈴鹿に住むようになって、失敗しても悪口も言わず、楽しくやっている人たちに初めて出会った時は、うれしかったですね。

 そして、持続可能な社会づくりのベースは人と人の関係づくりととらえ、「持続可能な社会づくりカレッジ」というプログラムを実施してきました。安心できる要素を用意したら、人は心を開いて、核心をついた話をいきいきと始めるんです。個人的な努力の問題ではなく、そういう環境がなかっただけなのです。

 こういう環境を日常的に、楽しんでつくれる人を育てたいと思うようになったころ、GENーJapanの代表になり、グローバル・エコビレッジ・ネットワーク(GEN)から、ガイアエデュケーションを日本でも実施しないかと誘われました。

世界各国で実践を重ねたガイアエデュケーション

 ガイアエデュケーションは、エコビレッジ・デザイン・エデュケーション(EDE)として、1998年にヨーロッパを中心にエコビレッジや持続可能な地域づくりに関わってきた55人によって開発され、多くの人材を輩出してきた国際的な教育プログラムです。世界各地での実践から練られた国際統一ガイドラインがありますが、具体的な内容は、それぞれの地域のメンバーが練り上げ、積み上げてきています。

 日本でもEDEは開催されていましたが、何年も休止状態でした。今回、いろんな方を訪ね歩いたら、皆さん「何とかしないといけないと思っていた」「個別の運動だけでは限界がある」と感じていて、一気にプログラムが実現しました。

アズワン鈴鹿コミュニティの里山でもガイアエデュケーションの実習が行われる

協力し合える仲間が見つかれば元気が出る

 会場は、地域づくりの活動実績のあるアズワンコミュニティ鈴鹿、安曇野シャロムコミュニティ、トランジションタウン藤野の三ヵ所です。コミュニティづくりやパーマカルチャー(持続可能な農的暮らし)などを現場で体験し、様々な分野で活躍する講師陣から持続可能性のベースとなる世界観を学び、個性豊かなコミュニティを実現できるようになる魅力的なプログラムです。

 プログラムで重視しているのは、何でも話し合えるベースづくり、言い換えれば持続可能な人間関係です。今の社会をこのままではまずいと思っている人は多いけれど、環境問題は途方もなくて、どうしていいか分からないとあきらめていたり、話す人がいなかったりして、孤立した個人がバラバラにいる、というのが私の印象です。人の輪ができて、人同士が安心できる場があれば、そこが拠点になります。

 ガイアエデュケーションを通して、足元の人間関係、食、水、エネルギーなどで何かできることが分かり、協力し合える仲間が見つかれば、元気が出ます。出会い直しというような動きをつくっていきたいですね。

ガイアエデュケーションの概要

 4月から9月まで、毎月1回2泊3日(9月は3泊4日)で全6回合宿。会場は、4、5、7、9月がアズワンコミュニティ鈴鹿(三重県)、6月が安曇野シャロムコミュニティ(長野県、写真)、8月がトランジションタウン藤野(神奈川県)。

 講師は、Gaia Education副代表のジョバンニ・チリアーノ氏、国内で活躍する内藤正明、辻信一、谷崎テトラ、設楽清和、水城ゆう、宇佐見博志、熊倉敬聡、平山恵の各氏ら。全6回修了者は、ユネスコとガイアエデュケーションから修了証書が授与され、修了者として登録される。

※プログラムの詳細や参加費などは、ガイアエデュケーションのHPをご覧になるか、
TEL 059-389-6603(GEN-Japan)にお問い合わせください。

キーワード【エコビレッジ】

助け合いながら幸せに暮らせる持続可能な小規模コミュニティ

 環境への負荷の少ない調和型の農業・建築、自然エネルギー、水の循環利用、地域で支え合う経済などを取り入れた、人が助け合いながら健康で幸せに暮らせる、持続可能な小規模コミュニティ。お互いに支え合う社会構造の崩壊や地球環境の急激な悪化という、現代社会の課題の解決策として、世界各地で多くの人々が、エコビレッジづくりに取り組んできた。

 イサカコミュニティ(カナダ)、フィンドホーン(英国、写真)をはじめ、世界には数多くの多様なエコビレッジがある。日本でも、エコビレッジの事例に学びながら、新しくコミュニティを創るだけでなく、いまそれぞれが暮らしている地域社会でできることから実践していこうとする動きが始まっている。

中日新聞朝刊 平成29年2月24日付掲載

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