インタビュー

豊橋市のいるかビレッジ

街中で自然体験のプログラムを楽しめる「いるかビレッジ」

 小旅行のように非日常を体験できる、愛知県豊橋市のエコビレッジ「いるかビレッジ」。赤ちゃんからお年寄りまで、いろんな人が混じり合う、ゆとりの空間に、自然体験や笑いヨガなど多彩な活動を通して、新しい「場」が生まれてきている。

 豊橋駅から北東に車で15分ほど。同市牛川町の新興住宅地に、いるかビレッジの三棟の建物が並ぶ。一番手前の「いるカフェ」に入ると、天井の高いガラス張りのスペースが目を引く。スギ、ヒノキなど地元の三河材をふんだんに使い、太いはりをむき出しにした軸組み在来工法で作られている。

ちゃいるーかの森の縁側で楽しく食事する親子

自然学校に親子で参加

 子どもが遊ぶキッズスペースの周りは、木のカウンターが取り囲み、ガラス越しに外で遊ぶ子どもも見える。ランチ時には、よちよち歩きの子も参加できる「冒険隊」という遊びのプログラムも用意され、子連れのママたちは、木のぬくもりを感じながら、気兼ねなく食事し、自分の時間を持てる。食育や子育ての情報交換の場として話題が広がる一方、縁側やカウンタースペースで読書を楽しむ男性の一人客も多く、今では、お昼時には満席になる人気ぶりだ。

 窓の外には、カフェで使った水が浄化されて流れ込む池、畑、田んぼが順に並ぶ。日本古来の里山文化をルーツに持つパーマカルチャー(永続する農的暮らし)の思想を取り入れたガーデン「食べられる森」だ。収穫した野菜などは、カフェやいるかビレッジのプログラムで利用される。

 「子ども自然学校」では、一年を通して、キャンプ、染物、竹筒炊飯といった季節の自然体験があり、中でも、子ども主体でプログラムからお昼ご飯づくりや片付けまで一日をデザインするキャンプは、毎回定員オーバーするほどの人気だ。

笑いヨガのワークショップ

笑いヨガの教室も

 真ん中の建物は、貸し出し棟。赤ちゃんマッサージや子連れで参加できるヨガ、オーガニック料理教室など様々なイベントや習い事に利用されている。毎週金曜日には、笑いヨガティーチャーのイルカマンによる笑いヨガの教室も開催している。「認知症、ガン、糖尿病、高血圧などの予防、免疫力アップによる健康増進も期待されています」(イルカマン)という優れものだ。

子どももお年寄りも一緒に畑作業

赤ちゃんあやす子ども

 奥の建物には、食育、自然、インターナショナルを三本柱とする親子園「ちゃいるーかの森」がある。南向きの大きな窓からは一年中暖かい日差しが差し込み、木のぬくもりが心地よい。ここには、赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで多世代の人たちが集まる。赤ちゃんを小さな子どもたちがあやし、その姿をママやおじいちゃん、おばあちゃんが温かく見守る姿は、もうひとつの家族のようだ。

 畑仕事では、自分たちで野菜を育て、収穫し、調理もする。いるかビレッジは、子どもの成長に欠かせない、人や自然との触れ合いという貴重な体験を提供する場として、地域に根付いてきているようだ。

エコビレッジで30年後の未来の実験

イルカマン

イルカマンと、キッズスペースを囲むカウンター(後方)

 梨畑が広がっていたこの地域に、2000年ごろから区画整理の計画が持ち上がり、うちにもいろいろなハウスメーカーがアパート建築の提案を持ってきました。でも、少子高齢化で人口が減る時代にどう見ても合わないと思って悩み続けました。

 2008年に、気分転換に海外にイルカと泳ぎに行ったんです。そこで、アメリカでエコビレッジがはやっていることを聞きました。帰国後に講座を見つけて、エコビレッジについて学び、「30年後の未来はどうなっているのか。それを実験できる場をつくろう」と、自分たちでエコビレッジをつくることにしました。

 未来を見据えて前進することは非常に忍耐力のいる作業ですが、徐々に仲間や協働事業体も増えてきました。多世代が集い、持続可能なライフスタイルをイメージできるようにもなってきました。最近は、いるかビレッジという一つの場所で、どれだけたくさんの楽しいことのレイヤー(階層)を重ねることができるか、そのことを強く考えています。

 僕は、もともと土木設計の仕事をしていましたが、整体の仕事に転じ、集客のためにマーケティングも勉強しました。エコビレッジというと、自然の中で自給自足し、極力エネルギーを使わず、車も持たず、仲間で暮らすというイメージが強いのですが、私たちは、自分たちが広告塔になる開かれたエコビレッジを目指しています。ビジネスとエコビレッジを融合させているんです。オアシスでありビジネス的にも成立するモデルができあがったら、他の地域にもつくっていくコンサルティングをしていきたいと思っています。

いるかビレッジ連絡先:090-9199-1983

中日新聞朝刊 平成28年1月21日付掲載

一覧に戻る

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ