インタビュー

日本ログハウス協会会長/夢木香株式会社代表取締役 中川 信治さん

 ぐっすり眠れる木の家の良さ もっと知ってほしい

 1987年、ログハウスの中で木の家具を売る店「ウッドギャラリー夢木香」を立ち上げました。人間らしい生活には、落ち着いて安らげる木や、自然との関わりが必要だと感じていたからです。当時は、がむしゃらに日本経済が突っ走り、心の豊かさがないがしろにされるような時代。そのころ私は、音楽業界というハデな世界に身を置き、いつも胃薬を飲み、疲れ果てていました。「本当にやりたいことをやろう。好きな木で物を作る人になりたい」と思うようになったのです。家具は全然売れず、自家用車は外車から一気にオンボロトラックになりましたが、不思議とワクワク感がありましたね。

都市の住宅としてログハウスを選ぶ

 そのうち家具ではなく、ログハウスが脚光を浴びるようになりました。最初は、大工の道具を見るだけでドキドキしていましたが、いい仲間といいお客さんに恵まれ、一棟ずつログハウスが建っていきました。ログハウスというとカナダの太い丸太小屋のイメージがあるかもしれませんが、コンピューター制御されたフィンランドのマシンカット材の普及により精度が上がり、都市の住宅としてログハウスが選ばれるようになりました。

昔ながらの方法で生産した材に出会う

 地産池消が言われ、日本の材を使おうと思い始めたころに、月齢伐採+葉枯らし+天然乾燥で生産されている静岡県浜松市の天竜の材に出会いました。

 木は、月が欠けていく時期には養分をあまり吸わずでんぷんの量が少ないため、新月までの1週間ほどの間に伐採した材は、シロアリに食われにくいんです。葉枯らしというのは、葉をつけたまま山に3ヵ月ほど寝かせて、葉から水分が蒸発して軽くなった木を山から降ろす昔ながらの方法です。そして、重油を使わずに天然乾燥をすることで、腐りにくい丈夫な建材になります。どこの山でいつだれが伐ったかがバーコードで分かるトレーサビリティ(生産履歴追跡)もしっかりしています。じっくりゆっくり、自然のリズムで作られたこの材をもっと使いたいと思っています。

端材で工作を楽しむ親子

子どもたちの自由な発想を大切にしたい

 自分の手で造る「セルフビルド」ができるログハウスには、ロマンが流れています。デッキを塗り直したり、板を張り替えたりしないと傷んでいきますが、実はそれが本来の姿。ログハウスを建てて半年くらい経つと、奥さんに「うちの主人ね、全然ゴルフに行かなくなっちゃった」と言われたりします。ポストや本棚を作り始め、だいたい次に庭をいじり始めるんです。

 夢木香では、木の良さ、自然と関わることの大切さをもっと知ってもらうために、植林・伐採ツアーや、自然塾などの活動も行っています。子供向けの「端材で工作」では、建築で余った端材をブルーシートに広げて「何を作ってもいいよ」と言います。最初はきょとんとしていますが、そのうち、夢中になってずっとやっていますよ。一日中板にくぎを打っている子もいます。くぎで絵を描こうというんです。おもしろいですよ。子どもの想像力って。そういうのって大事だと思います。

 今年で2回目の開催となる小学生対象の「木っていいな。森っていいな」絵画コンクールも、テーマの押しつけはやめようと、「○○っていいな」を加えて、好きなタイトルをつけられるようにしました。子どもたちには技に走らず、自由に自然な発想で描いてほしいですね。

伐採体験で斧(おの)を持つ子供

日本の木をもっと使う提案をしたい

 ログハウスを建てた多くの人が「ぐっすり眠れるようになった。建ててよかった」と、心の底から言ってくれます。ログハウス協会では、イベントやセミナーを通じて、多くのログオーナーが実感する木の良さを伝えていきたいです。建築士からもおもしろいアイディアをどんどん出してもらいたいですね。たとえば、マンションの間仕切りにログ材を使ったり、室内に木の板を貼ったり。有害なボンドも使わないし、調湿性がよくなる。家族構成がかわったら、組み替えて間取りを替えればいい。スギは日本特有の優れた材で、山にいっぱいある。日本の木をもっと利用する提案を、ログハウス協会から発信していこうと思っています。

中日新聞朝刊 平成27年7月10日付掲載

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