インタビュー

NPO法人愛・地球博ボランティアセンター理事長 榎田 勝利さん

ボランティア活動で地域の課題を解決する仕組みづくりをしたい

 様々なNPOや企業などが、どういう万博を作るかについて一年間にわたって議論し、2002年12月に、博覧会協会と対等な立場で、愛・地球博ボランティアセンターが立ち上がりました。

 私がボランティア運営のアドバイザーを務めた長野の冬期オリンピックでは、市町村職員がボランティア運営の中心でした。国際的イベントに登録されたボランティアは終了後に行政のボランティアセンターなどに移行されますが、多くの場合、活動機会が少なく、長続きしませんでした。その反省を活かして、立ち上げの際には、万博への参加をきっかけに、市民が地域で活動できる、一過性でないボランティア活動をしようと、みんな思っていました。

愛・地球博の長久手会場で車いすを貸し出すボランティア

企業や地域でのリーダー的存在に

 そして、ボランティアリーダーの研修プログラムづくり、301回のボランティア研修、環境、福祉、国際などをテーマにした専門研修などを、市民が担いました。15000人を目標にしていたボランティアは、30000人も集まり、活動期間を短くして全員の参加機会を作りました。

 約6割がボランティアは初めてで、半分以上が50歳以上でした。10年経って高齢化が進み、愛・地球博ボランティアセンターの会員が年々減っているのが今の悩みですが…。万博終了後に予算は激減し、資金づくりにも苦労しています。

 とは言え、研修、実践、そして継続が、ノウハウや経験の蓄積とネットワークの広がりとなって、地域の市民力をつくってきました。ボランティアの多くは、企業や地域で、ボランティア活動のリーダー的存在になっています。

企業経営と同様のマネジメントが必要

 ボランティア活動はボランティアだけではできません。マネジメントするNPOや専門的な組織、ヒトが必要です。ボランティア募集の広報、地域との関係づくり、研修や適切な配置、活動中の助言やリスクマネジメント、評価、そして資金づくりなど一連の流れが、ボランティアマネジメントです。企業経営と同じで、愛・地球博を通して、だんだん専門家が育ってきました。

2014年のMake a CHANGE Dayで受賞した団体

ボランティア活動で緩やかな「革命」を

 しかし、欧米とはまだ大きな差があります。アメリカには、一日で300万人もが一斉に参加するMake a Difference Day(変化を起こす日)があります。ボランティア文化が根付いているんです。事務局を担っているのは、USAWEEKENDというメディアです。

 私は、「市民のボランティア参加が社会を変える。緩やかなボランティア革命を起こそう」と呼びかけています。日本でも2009年から愛・地球博ボランティアセンターが事務局となってMake a CHANGE Day(変化を起こす日)を始めました。地域で行ったボランティア活動を登録してもらい、毎年表彰する制度です。NPO、企業、学校、地域の団体など6年間で延べ約4000団体が参加し、約7割は企業でした。全国各地の団体がつながり、学び合い、勇気づけられ、活動が活発化する機会になっています。全国どこにいても、誰もが参加し、活動できる「オンライン・ボランティア」も考えてみたいと思っています。

経験や知恵の共有が市民による国際貢献

 全米各地には、企業によるボランティア協議会を通じて、地域の様々な社会問題に取り組むNPOやボランティア団体に企業がアプローチし、共に地域の課題を解決する仕組みがあります。環境、防災、福祉、多文化共生などこの地域のこれからのテーマに取り組むために、こんな仕組みも創っていきたいですね。

 そして万博で培った経験を世界の人たちと共有し。万博の知恵や愛知の知恵を世界の人たちに役立てる、市民による国際貢献にチャレンジしていきたいと思います。ぜひ応援してください。

中日新聞朝刊 平成27年4月17日付掲載

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