インタビュー

ミュージシャン/ESDオフィシャルサポーター 白井 貴子さん

曲で未来の子どもたちにメッセージ 自分にも人にもいい歩幅で生きる

 私が育った神奈川県藤沢市の家の周辺は、森と田んぼばかりの自然豊かな場所でした。いろんな生き物たちと暮らすのが当たり前だったんです。近くに日大農獣医学部があり、牛に追いかけられそうになったり、馬が逃げ出してうちまで駈けてきたりと、動物園のエリアに暮らしているようでした。

エコとロックのハイブリッド

 中学時代には、同居していたおじさんがビートルズ世代で、学校から帰るといつもビートルズがかかっていました。今思えば、エコとロックのハイブリッドないい環境だったと思います。

 80年代にロックを始めましたが、ノルマ達成のために音楽を作るのに疲れ果てて、ボロボロになってしまいました。そんな時、大地に咲く野生のマーガレットに出会ったんです。湘南の大地で豊かな自然とともに純粋に生きていたころの自分が咲いているような気がして、こうして生きたら、すべてを愛し楽しく生きて、音楽を生み出し、自分も周りも幸せになるんじゃないか、と思いました。それで、いろんな意味でもう一回自然と向き合って、豊かな人生の土台を作っていこうと決心を固めて、ロンドンに行ったんです。

田んぼでもどこでも土があれば歌います

 戻ってからは、NHKのテレビ番組「ひるどき日本列島」のレギュラーに呼んでいただき、田んぼでも海でも山でも、土があればどこでも歌いますという感じで、生ギター一本で歌ったりしてきました。最近は、北原白秋さんや山田耕筰さんの、日本の宝ともいえる、故郷の原風景溢れる童謡も歌っています。私が今、一番思っているのは、豊かな人生を送ってほしいこれからの子どもたちに、未来に残すべきいい歌を伝えることです。ESDのオフィシャルサポーターとして作った「僕らは大きな世界の一粒の命」は、未来の子どもたちに向けた私のお手紙であり、今生きている大人には喝を入れる一曲です。

 曲の中に、「役立つ人になれよ」という言葉がありますが、自分のためにも人のためにもこれが絶対いいんだ、という最大限の歩幅で生きていくというのは、ESDの骨格ではないかと思います。先進国を中心に世界中がこの何十年、勝ち抜いて一等賞になるのを大前提に生きてきましたが、一等賞になって地球をダメにするより、大きなバランスの中で豊かさを求めるのが一番だと考えると、もう一度歩幅をゆったりしたところに戻すのが進化だと思います。

白井さんとCDのコーラスに参加した豊田市立藤岡南中学校の生徒達

全国の子どもたちと一緒に歌うのが夢

 この曲のCDが今月、全国のユネスコスクールに配布されました。全国を回って、子どもたちと一緒に歌うのが私の夢です。長年の友だちの南流石さんがかわいい振付をつけてくれ、文科省はこれをラジオ体操のように普及させたいと言ってくれています。会議が開かれる今年だけでなく、今後、十年、二十年かけて、このメッセージを全国の子どもたちが受け取ってくれたら、私は幸せな気持ちで昇天できるかな、って思います。(笑)

中日新聞朝刊 平成26年9月14日付掲載

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