インタビュー

(株)りんねしゃ二代目・INUUNIQ VILLAGE代表飯尾 裕光さん

「食と農」そして「暮らし」 こだわり方や選び方を若い人へ提案

 僕の両親は、1970年代から愛知県津島市で食の安全の運動に取り組み、りんねしゃという自然食品の生産・流通・販売をする会社を立ち上げました。その両親の教育方針で、小学生のころに、電気もガスも水道もない自給自足の暮らしを数年間していました。そんな暮らしを通じて、食と農を人生のテーマと決めました。高校、大学では有機農業や食を徹底的に勉強し、卒業後はりんねしゃで働いてきました。

オーガニックカフェとアースデイ始める

 2006年には、みそ・しょうゆづくりや鶏の解体など食や農をテーマにしたワークショップができる空間として、オーガニックカフェを名古屋市内にオープンしました。

 オーガニックがブームになったころで、久屋大通でアースデイ(地球の日)のイベントを始めたのもこの年でした。それまで自分は世の中の流れと別のところにいると思っていましたが、来場者との会話を通じて「僕の体験や考え方がこれほど多くの人に受け入れられるのか」と強烈に感じました。アースデイの活動を通じて、いろんな人とのつながりもずいぶん広がりました。

毎月28日に開催されている東別院てづくり朝市の様子

東別院と甚目寺で毎月、朝市を開催

 両親が自然食品に取り組み始めた時代と違って、今の若い人にとっては生き方そのものがテーマです。次のステージでは、自分たちの暮らしをもっと見せようと考え、去年、カフェを閉めて、津島市でINUUNIQ VILLAGE(イニュニック ビレッジ)を始めました。イニュニックというのは、イヌイット語で生命という意味です。「食と農」から「どう暮らすか」に僕のテーマも変わってきたんです。

 新しく建てた家は、新月に伐採し山で自然乾燥させた杉を使う一方、断熱などの機能性にもこだわりました。近代の技術も大事にして、徹底的にこだわった家づくり、暮らし方を見せたかったんです。

 暮らし方としては、ただ有機野菜を買ったり田舎暮らしをしたりするというだけでなく、豊かな人たちとつながって豊かな暮らしをすることが大切だと思っています。その一つの場として、妻が中心となって、名古屋市の東別院で毎月28日、甚目寺町の甚目寺観音で12日に朝市を開催しています。そこには、生活の中で手づくりできるありとあらゆるものがあります。

生産者になれる場所話しあえる場所作り

 例えば、家族で食べるために野菜を育てているけれど、作りすぎたからちょっと売りたい、なんてこともできるのが朝市です。朝市は、人と人をつなぎ、市場に出ない農産物を最もうまく活かせる方法だと思います。今は、消費者と生産者が分かれ過ぎていますが、朝市では一人ひとりが生産者になったり消費者になったりするんです。

 こうした朝市を年に一回、大きな形でどんと見せているのが、アースデイ名古屋です。去年からは、社会のいろんな問題をブースで気軽に話せるアースデイサミットも始めています。今後も気付いた人が自分の思いを形にできる場所や話し合える場所を提供して、少しずつ行動し始める人を増やしてしていきたいと思います。

中日新聞朝刊 平成26年4月25日付掲載

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