インタビュー

なごや東山の森づくりの会代表 滝川 正子さん

考えよう!いきものが暮らす森と山

 なごや東山の森にかかわって34年経ちました。その頃は東山の森の里山の自然は永遠にあると思い「このままに通信」を発行していました。そうしたら、湿地は干上がり、森は暗くなって、風通しが悪くなり、シュンランやツツジなど花は少なくなり、モズの巣の数が減ってしまいました。森の手入れをしないと里山ではなくなっていくんですね。

 今から14年前に里山・東山の森づくりを提案し、協働でなごや東山の森づくりに着手して10年になります。

家族で参加する人も増えている

 そこで、草を刈ろう、木や竹を伐ろう、田んぼや畑を作ろうと、里山本来の活動を増やしていきました。今は子ども森づくり隊など、11の班活動に、毎年延べ5000人くらいが参加しています。定年退職後の人が多いですが、家族で参加する人も増えているのが最近の特徴です。

 子どもたちは、シャベルを持たせたら、1時間でも2時間でも土を掘り続けるし、バケツで水を運ぶのも一生懸命です。生きものはみんなつながっていて、自分の命を支えてくれているのは、いのちのつながりだということを想像する力を、里山で森と土と水にふれることで養えます。

放置された森の木を伐る

 なごや東山森づくりの会の原点は、今でも毎月第2日曜日に開催している平和公園自然観察会にあります。突然木が切られたり、コンクリートで固められる工事が始まって森の開発を知るという状況を変えようと、1999年に、「名古屋新世紀計画」という平和公園の自然を守る提言を出しました。これがきっかけになって、名古屋市が3年かけて研究会を開催し、対象を東山の森全体に広げて、市民参加の森づくりを進めるなごや東山の森づくりの会ができました。

 様々な活動に取り組んできましたが、森も少子高齢化して、ひょろひょろとした木が密生して、林床に次世代の木が育っていません。森に降った雨も地中に浸透する量も減り、湧き水が少なくなりました。水辺に生息するハッチョウトンボはいなくなってしまいました。今、一番しんどい思いをしているのは、水辺の生き物のカエル、イモリ、カスミサンショウウオなどの両生類です。

水辺を取り戻す活動を続けていきたい

 水辺を取り戻す活動として、これからは、ある面積を全部伐る皆伐など大胆な提案をしていきたいと思います。雑木林は7年も経てば、ちゃんとした森になります。東山の森は粘土質なので、木を伐って、保全再生することで、水が必ず湧き出てきます。

 落ち葉で堆肥をつくり、それを畑や田んぼに入れて、子どもたちとニンジンやキャベツを作って、それを動物園のヤギや馬が食べたら、子どもたちもきっとうれしいと思いますよ。次の10年は、そうした新しいつながりを作っていきたいですね。

中日新聞朝刊 平成25年5月22日付掲載

“なごや東山の森”とは?
名古屋市東部丘陵に位置する、東山動植物園がある東山公園と平和公園を含む約400haの森。大半が樹林で覆われ、湿地が点在し、多様な動植物が生息しています。“都市の森” を次世代に受け継ごうと「なごや東山の森づくりの会」が定期的に活動しています。

探してみよう“なごや東山の森”で見られるいきものたち(順不同)

ニイニイゼミ 湿った土の雑木林で6月下旬から「チー、ジー」と鳴く。(初夏)

コバノミツバツツジ 早春、淡紫色の花を咲かせ、春の訪れを実感させるツツジである。(早春)

ナンキンハゼ秋の紅葉  中国原産で街路樹に使われているが、秋の紅葉が美しく、白い実が鳥のエサとなっている。(晩秋)

ハゼノキ秋の紅葉 ウルシ科の落葉樹で、秋の紅葉が美しい、実は鳥のエサになっている。(晩秋)

フキノトウ 大地が冬眠から覚め、春を告げている。(早春)

フユイチゴ 明るい雑木林の路傍に、名前のように真冬に真っ赤な果実を稔らせる。(冬)

スイラン 栄養な湿原やその周辺に生育し、日本固有種のキク科の一種。(秋)

サワギキョウ 湿地に群生する、美しい紫の花は湿原の秋の花として人気がある。(秋)

モウセンゴケ 食虫植物の一種で、貧栄養の湿地に生える。葉にある粘毛から粘液を分泌して虫を捕獲する。(初夏〜夏)

シラタマホシクサ 東海丘陵要素のひとつで、伊勢湾沿岸の湿地にだけ生える固有の一年草である。(秋)

ゴマダラチョウ 食草はエノキなどで、成虫は樹液を吸うため雑木林も必要である。落ち葉の裏で幼虫で越冬する。

ジャコウアゲハ 幼虫はウマノスズクサの有毒アリストロキア酸をせっせと食べて体内に蓄積して小鳥などの天敵から身を守っている。

アオサギ 体長は93cm 前後で、日本に分布するサギ類の中では最大種の水鳥である。灰色であるがアオサギと言う名である。

ツバメ 冬は、東南アジアやオーストラリア北部で過ごし、早春、海を何千キロも超えて日本に来て繁殖をする。

キセキレイ 20cmくらいの胸の黄色さと背中の黒さの目立つスマートな小鳥で、チチン、チチンと鳴き、長い尾をよく上下に振る習性がある。

セグロセキレイ 日本固有種で留鳥である、日本各地の水辺にすむ。ジュジュッ、ジュジュッと鳴き、長い尾をよく上下に振る習性がある。

アサギマダラ 成虫は1年のうちに、日本本土と南西諸島・台湾の間を往復していることが知られていて、あまりはばたかずにふわふわと優雅に飛ぶ。

「なごや東山の森づくりの会」の活動

倒木整理 森の中は、暗く荒れています。チェンソーを使って倒木の整理をします。

下草刈り 林の下に光り明るくなると下草が生えます。下草刈りは苦しい仕事ですが、埋まっていた貴重な植物の種子も芽生えることがあります。

水辺の草刈り 水辺にしか生きられない生き物はたくさんいます。毎年、冬から春先には水辺の草刈りをしています。

森づくり活動中 郷土種子を活用したなごやの緑化及び生物多様性保全推進協議会の植樹活動、2010年のCOP10から。

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