インタビュー

藤前干潟クリーン大作戦実行委員会実行委員長 坂野 一博さん

伊勢湾へのゴミ流出防ぐため藤前干潟や川の岸辺を大掃除

 藤前干潟との出会いは20年くらい前のことです。子どもが参加した自然観察会に付き添って行ったのがきっかけでした。名古屋市が藤前干潟にゴミの最終処分場を作ろうとしていたころで、藤前干潟を守る会を立ち上げて処分場建設に反対していた辻淳夫さんの語る活動の理念や柔らかいけれど芯のある人柄がすばらしいと感じて、地元に住む者として、運動に加わりました。

昨年5月の藤前干潟クリーン大作戦は1,818人が参加した

ペットボトルなど生活ゴミで埋まる

 長年の市民活動によってゴミ埋め立て計画は中止となり、2002年に国設鳥獣保護区に指定されるとともにラムサール条約の登録地となりました。しかし、日本有数の渡り鳥の飛来地である干潟や周辺の庄内川、新川などの岸辺は、上流から流れてくるペットボトル、ビニール袋、発泡スチロールなどの生活ゴミで埋まっていました。

 当時、藤前干潟を守る会副理事長だった浅沼秀夫さんが、何とかしなければと清掃活動を始め、周りの人たちに声をかけて、エコストック実行委員会など名古屋市の3団体と、庄内川、土岐川を通じてつながっている多治見市のリバーサイドヒーローズ・多治見さかなの会の4つの市民団体で藤前干潟クリーン大作戦実行委員会を結成したのです。

子どもが安心して遊べる干潟や川に

 そして、ラムサール条約に恥じない干潟にして、子どもたちが安心して遊べる干潟や川を取り戻すとともに、流域全体のゴミや水のことを考えるネットワークをつくることを目指して、毎年、春と秋にクリーン大作戦を展開してきました。

 たった一人で活動を始めた時から十年が経ち、地元の学区の人たちや、市民団体、企業、行政など様々な人たちが加わって、昨年10月に行った第17回クリーン大作戦の参加者は1800人以上にもなりました。

 干潟が砂地化してくるなど、干潟の状況も変わってきていますが、始めたころにはいっぱいだったゴミは、最近ではずいぶんと減ってきました。

企業訪れて干潟の現状などを紹介

 社会貢献活動の一環で、クリーン大作戦に参加する企業も増えています。ゴミ拾いの意義を理解してもらうためにも、そうした企業には積極的に出向いて、干潟の現状をお伝えするようにしています。そんな時には、養殖用の機材の部品など珍しいゴミをいろいろ持参して紹介したりもしています。私もレアゴミの収集マニアなんですよ。

 この春のクリーン大作戦は、伊勢湾流出防衛 ゴミ最前線と銘打って、5月25日に開催する予定です。毎回、多治見の子どもたちが来てくれていますが、この活動を通じて、上流の人たちと下流の人たちの交流がいっぱい生まれたらいいなと思います。また、清掃後に実施している中堤での干潟観察会では、小さな命のありようと、生き物の繋がりを感じて欲しいですね。

中日新聞朝刊 平成25年4月27日付掲載

ラムサール条約とは?
正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」において採択された。特に水鳥の生息にとって国際的に重要な湿地およびその動植物の保全を促進することを目的として、締約国は重要な湿地を指定し、保護・管理を行う。藤前干潟は2002年11月にラムサール条約に登録された。

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