インタビュー

ビオトープ・ネットワーク中部会長 長谷川 明子さん

ベランダや庭は蝶やトンボの喫茶店 ビオトープを結んで生き物を守る

 ビオトープというのは、生き物のせい息場所という意味です。そういう意味では街路樹も庭も畑も、みんなビオトープになります。日本では、わざわざ作るものというイメージがありますが、私たちの真の豊かさと、自然との共生を実現させる一つの方法がビオトープなのです。

都市計画に入れて自然環境の質向上

 スイスやドイツでは、どのビオトープを守り、どこをネットワークするかを都市計画に入れて、とてもうまくいっています。家、道路、鉄道、水田や、池、川、標高など地理的データを重ね、生き物の情報も加えて地図を作り、動物が移動できる距離に休む場所を確保するように計画していくのです。開発することで地域の自然環境の質が向上するよう

  • 森を壊すなら別の大切な森を整備する
  • 使わなくなった道は、森に戻す
  • 壊したら元に戻すのに何千年もかかる湿地は絶対に壊さない

など、開発することでむしろ地域の自然環境の質が向上するような配慮がされています。

愛知県でも生態系ネットワーク

 こうした考え方をベースに、愛知県では、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10) の後に、知多半島、東部丘陵、西三河などの生態系ネットワーク協議会が立ち上がりました。愛知県では学生が中心で制作するフリーペーパーが始まっており、私もサポートをしています。生態系ネットワークとしては、森や公園などだけでなく、家のベランダや庭も大切です。人間が喫茶店に入って一息いれるように、喫茶店代わりに蝶やトンボが立ち寄ることができますから。COP10では名古屋市でビオトープガーデンコンテストをしましたし、今は、岡崎市と同様のコンテストの話をしています。

20年前、学生たちと行ったアフリカの様子。このときの気づきがきっかけで今の道に。
(1991年8月20日中日新聞掲載写真)

日本の草花を植えてより身近に

 外来種の花や木が公園などに植えられる一方で、私たちが抜いていた雑草が絶滅危惧種だったりします。伝統野菜が消えていく中、名古屋市内の公園で八事ニンジンや宮重ダイコンなど地元の野菜の花を地域の人たちが育てる“おやちゃい”プロジェクトにも取り組みました。ニンジンの白いかわいい花を楽しんだり、ちっちゃなニンジンをニンジン嫌いの子が「おいしい」と言って食べたりしていました。花を愛でる為であっても、生産物を公園に植え地域の人で管理することに、行政も含め市民全体の合意が不足しており、このプロジェクトは残念ながら長続きしませんでしたが…。

 持続可能な開発のための教育(ESD)が注目されていますが、何を食べ、何を身近に置くかを一人ひとりが考え、何ができるかをみんなで考えていくことがとても大切だと思います。たとえば、日本の草花の種を植えるとか。緑のカーテンとしてアケビやムベを育てることも私たちにできる一つの方法ですよ。

中日新聞朝刊 平成24年12月22日付掲載

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