インタビュー

オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村村長 よしのたかこさん

都会の真ん中で消費者が新規有機農家を育てる朝市

 名古屋市・栄のオアシス21という公園でオーガニックファーマーズ朝市村を始めて8年になります。有機農業を始めた人たちの「思いや畑の様子を伝えながら販売できる場所がほしい」という声に応えられたらと、公園と共に、都会の真ん中で生産者が消費者に手渡しで販売できる場をつくったのです。始めたころには100人くらいだったお客さんも、多い時には1000人を超えるほどになりました。

毎週土曜日、オアシス21で朝市村を開くよしのたかこさん(中央)

仲間づくりや技術・情報を伝え合う場に

 農家から「朝市に出店したい」という話があった時には、必ずベテランの生産者と一緒に畑や田んぼを見に行きます。課題があればその場で生産者がアドバイスして、少しでも技術を高められるようサポートします。有機農業者は点在していて近くに仲間がいない場合も多く、周囲の理解を得られずに苦労することもありますが、朝市村はそんな有機農業者同士が仲間になり、技術や情報を伝え合う場にもなっています。

 最近はイタリアンなどのレストランやオーガニックカフェの人たちも、仕入れに来てくれるようになりました。お客さんの七割はリピーターで、食べた感想を直接伝えたり、新人が緊張した表情で腕組みして立っていると「それじゃ売れないよ」と声をかけたりしてくれます。朝市はお客さんに育てられているんですよ。

生産者の農家と直接話せることも朝市の魅力の一つ

すっかり変わった穴だらけのイメージ

 有機農業に対する認識や技術は、この8年でずいぶん変わりました。有機野菜というと虫に食われて穴だらけというイメージでしたが、朝市で穴だらけの野菜は見かけません。農家の努力の結晶です。

 有機農業者は土づくりに力を注ぎます。いい土とはすき間があって微生物が暮らしやすく、水はけがよいと同時に、水分を保持できる土。微生物が多いと、それをエサにする虫などの生き物がたくさん集まり、バランスのとれた生態系が形成されます。その結果、病気や害虫による農家の被害は、それほど多くありません。

相談と研修で新規就農者をはぐくむ

 朝市村では、新規就農の相談を毎週受けています。第三週には、農林水産省(東海農政局)の担当者に制度面の相談に乗ってもらえます。有機農業を始めたいと思っても、相談できる場や研修を受け入れてくれる農家になかなか出会えません。

 朝市村では、本人の覚悟を確かめてから、作りたいものや、就農したい場所などの希望に合わせ、朝市村の農家を中心に研修先を紹介しています。研修を受けた後、独立して朝市村に出店する人が、最近増えてきました。まもなく独立する研修生が何人もいるので、受け皿としてそろそろ別の場所での開催も考えないと、と思っています。仕事帰りに立ち寄れる夕市を名古屋駅周辺でできたらというのが、今の私の"野望"、かな(笑)。

中日新聞朝刊 平成24年8月18日付掲載

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