インタビュー

公益財団法人名古屋市みどりの協会 川本 洋敬さん

手軽に始められる緑のカーテンが地球環境について考えるきっかけに

 建物の外側でつる性の植物を茂らせ、窓やドアを覆う「緑のカーテン」。名古屋市内でも年々、実施する人が増えていると実感しています。本年、名古屋市みどりの協会では保健所からの依頼を受けて、市内11ヶ所で市民に向けた「緑のカーテン栽培講座」で講師を行いました。会場によってはすぐに定員が埋まってしまうこともあり、関心の高さがうかがえました。最近は子どものための環境学習の一環として、緑のカーテンに取り組む学校も見られるなど、裾野も広がっているようです。

今から栽培するならゴーヤの苗が手軽

 緑のカーテンを作ると、直射日光をさえぎることができるため、体感的な涼が得られます。森の中に行くとひんやりとした空気が感じられると思いますが、それに似ています。また実際に緑のカーテンによりエアコンの使用時間が削減できたというデータもあります。

 初めて緑のカーテンに取り組むなら、比較的育てやすいゴーヤや朝顔がおすすめです。一般的に5・6月頃から始められるのがベストタイミングですが、今からでも苗を入手できれば緑のカーテンをつくることが出来るので、是非チャレンジしてみては。

緑のカーテン栽培講座で講師を務める川本氏

緑のカーテンは環境問題の入り口

 私自身、緑のカーテンは様々な「入り口」になりうると捉えています。一つはライフスタイルの中に植物を取り込むための「入り口」。緑のカーテンで植物を育てる喜び、収穫の喜びを知った方が、他の植物の栽培や、野菜の栽培へとステップアップされることも少なくありません。植物を育てることで感じられる、自然と自分との一体感。これまで憂鬱だった雨の日が、植物のことを考えると楽しくなるという話も聞こえてきます。

 また、緑のカーテンは環境について考える「入り口」にも。最初から環境問題と大上段に構えると距離感を覚える人も少なくないと思いますが、植物を育てることなら、誰もが取り組みやすい。それでいて、みんなで一緒になって活動し、つながっていくことでやがて大きなうねりとなります。

植物の素直な反応を楽しみながら栽培

 緑のカーテンや、植物の栽培をする中で、うまく育てられず、枯らしてしまうことがあります。そこで気落ちすることなく、「成功の一歩手前」と思ってください。私を含めた植物の専門家であっても、はじめはたくさん枯らしているのです。植物はまず、種を撒いたり苗を植えたりして、水や肥料をやるという手間があります。そのような苦労を経て、ようやく花が咲いたり実をつけたりするため、感動もひとしおです。日常生活のなかでこのような感動を味わえる機会はなかなかないと思いますので、失敗も含めてその面白さを感じていただきたいと思います。

中日新聞朝刊 平成24年7月12日付掲載

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