インタビュー

ソーシャルビジネス・ネットワーク専務理事 町野 弘明さん

ソーシャルビジネスで復興へ 陸前高田になつかしい未来創造

就業体験インターンシップでは学生たちが活躍した

 事業を通じて社会的課題を解決するソーシャルビジネスの新しい経済団体として、2010年12月にソーシャルビジネス・ネットワークを設立しました。昨年3月初めに法人格を取得した直後に東日本大震災が起こり、ソーシャルビジネスの力で何とかサポートできればと、東北復興をメーンに取り組むことを決めました。

 5月ごろ、被災地での県外学生の就業体験インターンシップ事業の受け入れ先を探す中で、陸前高田市の経営者たちが「一緒に学びながら復興しよう」と言ってくれました。その縁で、大人も復興に向けて話し合おうと、ソーシャルビジネス・ネットワークの全国のメンバーに来てもらって、千年みらい創造会議を何回も開催しました。

古き良き陸前高田残しつつ事業推進

 そこで出たプランを事業として進める復興まちづくり会社として、地元中小企業経営者らが昨年9月に立ち上げたのが、なつかしい未来創造株式会社です。なつかしさやスローな暮らしに幸福を見いだす「なつかしい未来」というコンセプトは、震災前から地元の経営者が勉強会で学んでいました。

 この会社は、全国のソーシャルビジネスとのつながりを活かして、古き良き陸前高田の良さを残しつつ、人々が共感する事業を生み出していくことを目指しています。中小水力発電、木炭発電や、ごみ、下水、し尿の循環利用などの自然資本タウン事業、特産の気仙杉を活かした家具づくりなどの伝統技術革新事業、全国の人たちに参加してもらってつくるなつかしい未来ロッジなどのグリーン・サービス事業といった5つの事業を、10年という期限付きで推進していく計画です。

次の冬までに希望が見いだせるプランを

 大震災から1年が経ちましたが、陸前高田は平地のほとんどが津波で流され、他の被災地より厳しい状況にあります。市の職員が多く亡くなっており、名古屋市などから応援に来てもらってはいるものの、防潮堤や土地のかさ上げ計画の住民への説明、区画整理のための地権者交渉など行政の仕事は山積みです。今は、いつになったら広大な空き地にもう一度工場や事務所ができ、生活を取り戻せるか分からず、希望を見いだすのは難しい状況です。次の冬までに、元の過疎の町に戻るのではなく新しい町を創るというプランが見えないと、若い人たちの流出は加速します。

ソーシャルビジネス元年となるように

 だからこそ、民間がリードして新しい仕事、産業を生み出し、市はそれを後押しするという形にする必要があるのです。阪神淡路大震災ではNPOに注目が集まり、NPO元年と言われました。今回、ソーシャルビジネスが復興に貢献して、後で振り返った時に、ソーシャルビジネス元年と言われるようになるといいと思っています。

中日新聞朝刊 平成24年3月21日付掲載

ソーシャルビジネスって?

子育て支援や障害者支援、環境保護、まちづくりなど様々な社会的課題を、ビジネスを通して解決する持続的な事業をソーシャルビジネスって言うんだ。新しい産業や雇用を生み出すことにもなり、今、全国でどんどん広がっているんだよ。

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