インタビュー

アートアンドライフ自然学校代表 宮崎 喜一さん

美意識こそが、環境のための行動のエネルギー

もの作りの構想をイラストに描き、皆でイメージを共有する。この葦舟はみごとに川面に浮いた。

フライパンを叩いて楽器を作る

 自然に対する借り方、返し方を伝えたいと始めた出前の自然学校で、子どもたちとトリニダード・トバゴ共和国の楽器「スチールパンドラム」を製作しました。100円ショップのフライパンを叩いてへこませながら低音から高音まで調整、身近な素材が立派に使える楽器となり、もの作りの醍醐味を実感したようです。

 また地域の小学生を対象に道具作りの連続講座を開催し、インディアンのティピ(テントの住まい)や葦舟、インドの縄版画といった世界のもの作りや、お風呂の椅子、スプーン、ゴマ炒り器など、暮らしの道具作りも行いました。金属の素材からフライパンを作ったこともあります。コンセプトはかっこよくて、ちゃんと使えること。

意識改革を教えるのは美術と音楽

 環境をよくする3つの法則は、「法による規制」「技術の進化」「意識改革」といわれています。それを小中学生たちにどう伝えるか。法律は社会科、技術は理科。では意識改革は?美術と音楽ではないか。意識を改革するには、美意識を高める教育が必要です。

 法律があってもそれを守りたいという気持ちがないといけない。技術が進んでも、それを使いたいと思う気持ちがなければいけない。不法投棄を醜いと思う気持ち、美しい自然の中にいる自分を心地よいと感じる気持ち、能動的に動く気持ちがなければ、いくら植物の名や法律を知っていても、環境に対しては役立ちません。

先住民族の暮らし方を手本に

 COP10のパートナーシップ事業として開催された「世界先住民族サミット」では、動物や植物に敬意を表し図案化してきた彼らの絵、70点余りを、1、2メートル四方の大きな旗に写し描くアートイベントを行いました。周囲の限られた資源を使ってつつましやかに暮らしてきた彼らに学び、私たちもそろそろ新しい生活価値観を持つべきではないでしょうか。暮らしの中で自分にブレーキをかけること。流行に煽られず、自分の価値観を持つこと。それらを子どもたちに伝えたい。

 開拓によりすっかり姿を変えてしまった北海道の地を憂い、「もともと私たちの土地だったところを返してくれたら、自然を元通りに創りなおすことができる」と言ったアイヌ民族の言葉が印象的です。

江戸時代には禿山だった、海上の森

 「海上の森」は江戸の頃、陶器作りの燃料にするために森林を伐採した結果、禿山となってしまっていました。明治初期に植林したおかげで、今ではみごとに森が再生。明治神宮の森も、更地の上に人間の手が作ったものです。不可能と思わず、やれることをまずやってみることです。

昔から日本人が持っていた、ものを大事にする心

 親子一緒にもの作りを体験すると、まず親に変化が見られます。親が真剣になる姿を子どもに見せると、今度は子どもにも変化が出てくる。昔は生活の中に職人がいて、桶屋や鍛冶屋などもの作りの現場を間近に見ながら人々は生活していました。だから日本人にはものを大事にし、道具が壊れたら直して使おうとする習慣があったのです。

 今、子どもたちには、道具を直す技術も教えています。そのために人間には手があり、君にはその手があるんだよと呼びかけています。

中日新聞朝刊 平成23年2月10日付掲載

アート&ライフミーティング2011

3月12日(土)10:00〜16:00

さまざまなアーティスト・団体が出演し、環境活動とアートをつないだイベントを開催(愛・地球博記念公園内の地球市民交流センター)。有料・無料のパフォーマンス、ワークショップなど、自由参加。

[お問い合わせ]TEL:0561-82-6933(ART&LIFE自然学校)

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