インタビュー

名古屋学院大学 経済学部教授 水野 晶夫さん

見えてきた地域貢献につながる新しい可能性 名古屋学院大学ニホンミツバチプロジェクト

COP10では、活動を積極的にアピール

 名古屋学院大学の白鳥学舎は、COP10のメイン会場である名古屋国際会議場の隣に位置しています。会期中は、フォーラムゾーンとして本学の一部を提供。この機会に、地元から生物多様性に関わる社会貢献をしようということで、本学の学生が主体となって「ニホンミツバチプロジェクト」を発足させました。COP10では、このプロジェクトの成果を積極的にアピールするとともに、訪れた方に、実際の飼育現場を観察していただき、ミツバチの自然な姿を見てもらいたいと思います。

ミツバチがもたらす恵みを持続可能なものに

 ミツバチは、植物の花粉を運び、実を結ぶ手助けをする昆虫。ミツバチが関わるこうした生態系の連鎖は、学校の授業などを通して多くの人が知っていることです。私たちはミツバチの働きを通して見えてくる大切なことをみなさまに知っていただきたいと思っています。「ニホンミツバチプロジェクト」の狙いは、ミツバチを取り巻く生物多様性がもたらす様々な恩恵と私たちの生活との関わりを多くの人に実感してもらうこと。さらには、このプロジェクトをきっかけにこれらの恵みを持続可能なものとし、次の世代に伝えていくことができればいいですね。

 プロジェクト発足当初、学生たちのミツバチに対するイメージは「刺される」「怖い」というものがほとんど。しかし、飼育を通してミツバチと触れ合う中で、そのような意識に大きな変化が生まれました。今では、週に一度のミツバチの観察を楽しみながら行っています。もともとニホンミツバチは、人間が攻撃しなければ襲わない大人しい昆虫。ミツバチは、とても世話をしやすい昆虫なのです。

ミツバチにとって快適な都市の環境

 意外に思われるかもしれませんが、都市はミツバチにとって住みやすい環境。住民の健康を考慮して、都市に育つ植物にはあまり農薬が使われないためです。一方、田舎はミツバチにとって住みやすい環境とは必ずしも言えません。畑や田んぼに農薬を使うケースが多く、一度農薬を浴びたミツバチは巣から追い出され死んでしまうからです。本学でニホンミツバチを飼育することになり、隣接する白鳥庭園さんにご挨拶にうかがったのですが、プロジェクトについて話したところ、検討中だった庭園での農薬の使用を中止すると言っていただけました。都市に暮らす中で、他人事のように考えていた生物多様性が、とても身近に感じられた瞬間でしたね。

地域活性化と地産地消を目指して商品化された「はちみつクリームコッぺ」

初めて見るハチの巣枠に驚きの表情を見せる幼稚園児たち

地域活性化の新しいアプローチ

 プロジェクトの内容は多岐にわたります。飼育したミツバチから採ったハチミツは、「はちみつクリームコッペ」として商品化し、本学の学生が運営するカフェ&ベーカリー「マイルポスト」で販売。今では毎日すぐに売り切れてしまうほどの人気商品になりました。日比野商店街では、「ハチミツカステラ」「ハチミツラスク」「ハチミツハイボール」を試作していただいており、どれも大変おいしいですよ。熱田で採れた貴重なハチミツを使った商品を、熱田の商店街で販売する。まさに地産地消ですね。また、採蜜イベントも積極的に行っています。幼稚園児を招いての採蜜イベントでは、ミツバチの生態についてクイズ形式で分かりやすく解説した後で、巣から採ったばかりのハチミツを食べてもらいました。このように、飼育下でしか分からないミツバチの生態をじっくりと観察すると同時に、地域の人々を招き、生態系を感じながら環境について考えてもらうことが、このプロジェクトの大きな特徴と言えます。

 まだ発足して数カ月ですが、プロジェクトを通して、地域貢献・地域活性化の新しいアプローチが見えてきました。今後はこの取り組みを、他地域のモデルになるよう育てていきたいと思います。

中日新聞朝刊 平成22年10月17日付掲載

一覧に戻る

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ