インタビュー

大ナゴヤ大学学長 加藤 慎康さん

 虫や動物がやってくる街に COP10期間に花植えプロジェクト開始

知と交流の化学反応

開校1周年を記念して行われた"みんなで挑戦!「名城線リアルすごろく」"ではチームに分かれて実際に地下鉄で街をめぐり地域の魅力を発掘、発信した。

 参加者はコミュニケーションを望んでいます。生活者の話を聞いたり隣の人とアイデアを出し合うなど、多くの人に触れることで、知ることに満足度や感謝の気持ちが加わります。講師も、街でがんばっている人や、得意な分野を持っているけど人前での話は苦手、みたいな人まで様々です。誰もが先生や生徒になれ、誰もが学べる仕掛け作りを意識しています。

 長者町での授業では、参加者たちがゼミを誕生させました。「ぶらり長者町」と題して毎週お店探索をし、それをブログに集めてエリアマップを作成中です。街を元気にし、稀薄と言われるコミュニティを再構築したいと意気込んでいます。

 また柳橋場外市場で毎朝、卵焼きを焼いている「たま子さん」に、自宅から持参したフライパンを持ち寄って家でも簡単にできる卵焼きの作り方を教わる授業では、参加者が再び集い、年末の買い出しにたま子さんを訪ねる補講も行いました。

 授業をきっかけに、ゼミやサークル活動、部活動などが自然発生的に生まれ、自主活動が発展していく。私たちの役目はそれを自立可能な形で支援したり、発表の場を提供することだと考えています。

モデルは世代を超えてつながる「シブヤ大学」

 先駆者の「シブヤ大学」(東京都渋谷区)では約18,000人が登録し、年間約600コマの授業をしています。規模は大ナゴヤ大学の10倍。現在、札幌から今年中に開校する沖縄まで、全国で姉妹校が多数開校しています。運営はそれぞれ別ですが、志は同じ。地域の資源を発掘し、人をつなげ地域を超えてつながろうという思いを共有し、ツーリズムの分野などで授業連携の話が具現化しています。

花を植えながら、生物多様性を身近に感じる

 生物多様性に関しては、市民の多くがまだ十分に理解できていません。生物多様性が実は身近なものだということを感じてもらうため、『栄地区のどこかに、いきなり花を植えます(仮)』プロジェクトを、 COP10期間中に始めます。

 アイデアの源泉は、イギリス発祥の「ゲリラガーデニング」。ヨーロッパやニューヨークに広がっているイベントで、一晩で空き地を花畑にしようと皆で街路や空き地に花を植え、虫や動物たちを呼び込もうとするガーデニング活動です。 COP10期間中の週末に予定していますが、詳しい日時・場所はまだ秘密です。

 生徒の一人が朝、世話に行けるようにするなど、自分たちでできる範囲から徐々にムーブメントとして広げていければいいと考えています。地域住民や通勤者にも水やりなどに携わってほしい。花を通して人々が街に興味を持ち、知らぬ間に、生活者と生物多様性とがつながる街へと変化していくのです。

持続可能なまちづくり活動を続けるために

 COP10では多くのNGOやNPOが参加していますが、その活動を多くのボランティアたちが支えています。大ナゴヤ大学も今のところスタッフ全員がボランティアです。続けていれば、いつか何とかなるだろうという感じでやっていますが、3年以内には経済的な目処をつけたい。まちづくりの持続可能な活動ができる仕掛けや仕組みを、行政や企業、市民との協働で作っていけたらと願っています。

 COP10の最終日に、名古屋学院大学のフォーラム会場で総括の場を持つ予定です。これまでCOP10 に対する盛り上がりが見えづらかったのは、関係者が一丸となることが難しかったからではないでしょうか。もしも、皆がもっと強固に関わり、つながり合うきっかけを作ることができたら、愛知・名古屋は非常に豊かになると確信しています。大切なのは、対話。顔の見える関係作りから始まるのだと思います。

中日新聞朝刊 平成22年10月10日付掲載

ホームページ:大ナゴヤ大学

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