インタビュー

なごや環境大学・事務局次長 熊沢 豊さん

校舎も卒業証書もない大学発、「人と地域力で、動かそまい!なごや」

『人づくり』がルーツ

 なごや環境大学誕生の経緯には、藤前干潟の問題もありました。干潟をつぶしてごみ処分場にする計画があったのですが、干潟を守りたいという声が高まり、最終的に干潟は残されました。残す代わりにごみ減量が必須となりましたが、これには市民や企業の協力が欠かせません。環境を守っていける人づくり、人の輪づくりをしなければ、ごみ問題を含めた持続可能な街づくりは不可能だろうと考えたのです。

 今、干潟に行けば生物の多様性を学ぶことができます。藤前干潟を残したことがCOP10誘致における大きな決め手にもなりました。まさに因縁ですね。

海に行き、生きものと接する講座もある

上からでも、下から目線でもない

 講座は地球規模の環境問題から自然観察といった身近なものまで多様で、共に学び共に育つ「共育講座」の名のとおり、誰もが生徒にも先生にもなれます。例えば、古布でのリフォームを教える講師は“もったいない“を広めたい主婦。子どもが親になったときの未来を憂い、行動を始めた母親です。

 タレントの藤原紀香さんを招いてのトークショーと写真展の開催、また環境と音楽のコラボ講座などの企画を通して、それまで環境問題にあまり関心のなかった若者たちの参加も増えてきました。企業人には、太陽光パネルを導入した工場やスーパーのリサイクル現場の視察といったエコ事業所ツアーも好評のようです。

『協働』が行動の力に

 横浜市をはじめ多くの自治体が環境大学の仕組みに興味を示しています。注目は、『協働』のテーマ。行政だけ、また企業だけ、ましてや市民1人だけではとてもできないことを、市民(団体)、企業、大学(学校)、行政のネットワーク力で成し遂げていく。この連携が、なごやが本来持っていた地域力を呼び覚ましました。“この指とまれ“の呼びかけのもと、得意分野を持つ協働隊が即、形成される。特定の場がないからこそ、ネットワークさえあれば大きく広がって行ける。うれしいことに、このような環境大学が今、全国にできつつあるのです。

「大人から子どもまで誰でも楽しんで感動できる講座がいっぱいです。入学資格はエコ・ゴコロだけ。たくさんの方のご参加お待ちしています。」と呼びかける同・事務局の中野紗江子さん

『つながり』に気づいてほしい

 地球温暖化に加え、COP10開催決定後は森づくりや田んぼの生き物調査など、生物多様性をテーマとした講座が充実。名古屋の水は長野県の木祖村から来ています。名古屋城本丸御殿も岐阜県中津川市の旧加子母村の木を使用しています。海と山はつながっていること、全てのいのちはつながっていることを、現場に行って感動することで、特に子どもたちに気づいてほしい。COP10では会場となる白鳥の国際会議場周辺に足を運び、世界の人々と交流しつながってほしいですね。

「環境首都なごや」へ!

 2年かけ「2050年の名古屋を考えよう」という講座を行いました。市民の目でこんな街になったらという青写真を描いたわけです。今年の講座では具体的な行動につなげるために、数値化した指標を盛り込む作業をしていきます。こういった講座に参加者が集まること自体がなごやの財産。市が進める「生物多様性と低炭素都市」構想に向け、皆でなごやを動かすムーブメントを起こしていきたいと思っています。

中日新聞朝刊 平成22年3月10日付掲載

一覧に戻る

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ