インタビュー

株式会社ルネサンス・プロジェクト代表取締役社長 中村 鉄哉さん

ナゴヤが火付け役 ヒット商品が地方を救う! 〜壱岐島・奇跡の焼酎『柚子小町』〜

 『柚子小町』という焼酎をご存知ですか。上品な香り、料理に合うほどよい甘み、アルコール7度、おいしさに加え、厳選された原料で作られ、健康指向、トレーサビリティの観点からも安心安全な焼酎。地元酒販大手「イズミック」が取り扱うこの焼酎は、中部地区での人気をきっかけに今では世界で販売されるヒット商品になりました。玄界灘の壱岐島でうまれた焼酎のヒットがもたらす多様性とは―

原石に命を吹き込む

 地方にはキラリと光るものがありながら埋もれていて、自分の才能に気づかずにもったいないことをしている資源や人材、会社が山ほどあります。それらを掘り起こし、どうスポットライトを浴びせ、デビューしていただくか。それが私の腕の見せどころ、仕事です。およそ400年前に大陸の蒸留技術がもたらされた玄界灘に浮かぶ長崎県・壱岐島で出会った密かな資源―、それが柚子焼酎でした。

麦焼酎発祥の地、壱岐

 お茶の代わりに「薄ものですけど」と焼酎の水割りを出していたと言われるほど、焼酎文化の根付く壱岐島。麦焼酎発祥の背景には、平野が多く、豊富な米や麦を利用し家庭で麦焼酎を作っていた歴史があります。鍋島藩時代に焼酎で藩の財政を支えていたほど、壱岐は酒造りが盛んでした。しかしながら明治の初めに40軒ほどあった酒造会社が今では6軒に。経営危機を乗り切るため6社で壱岐焼酎協業組合を設立し、起死回生を図ったのです。

経営難から脱却、活気づく工場

大ヒットには販売会社の協力が不可欠
写真はサカツコーポレーション(名古屋市)

焼酎が育む多様性

 「島の特産品であるユズの皮を使った『柚子胡椒』や『ゆべし』の製造過程で不要になる果汁を、焼酎に利用してみては?」柚子生産組合の提案で誕生した柚子焼酎は当時、島民に飲まれる程度。口にした瞬間、直感しました。「もったいない!」 そこで都会、特に女性向けに味を改良。ラベルやボトルデザインもお洒落にし、『柚子小町』と新たに命名。リュックと手提げ袋に商品を詰め込み、全国行脚して2年が経ちました。面談相手から机に足を投げ出されたまま応対されたり、協賛金を騙し取られたりも。唇をかみ締め重いリュックを担ぎ続けて3年目。ようやく灯りが見えてきました。大手酒販卸のイズミックさんが、好景気だった名古屋市場への販売を強力に推進してくださったのです。ここから徐々に人気が出、今では4割が中部での消費に。『柚子小町』や男性ファンも多い『魔女の柚子小町(25度)』を飲むことは、壱岐の生産農家や焼酎協業組合など島の産業を支え、高齢化が進む地元に若者が戻って来るきっかけにもつながります。このように間接的に壱岐を支援してくださっている中部地方の方々には、心から感謝しています。

皮、果肉、果汁、タネと全てが資源に

捨てない文化が富をもたらす

 原料のユズは有機や無農薬栽培された国産のみ。今では地元だけでは足らず、他県からも仕入れています。ユズは日本を代表する付加価値の高い柑橘類。壱岐では有休荒廃地だったところに新たに植樹するなど、生産量も増えているようです。組合では果汁をろ過する過程ででる果肉を用い、海水から塩を作る島の製塩会社と共同で『柚子塩』を開発中とか。「もったいない」の連鎖が資源に新たな価値を創造し、島を活性化させていく。こんな循環が深化していくのを知りうれしくなります。

義が、企業活動の原点

 『柚子小町』のヒットは、地場産業再生の一つのビジネスモデルとなりました。焼酎製造だけでなく、農業や観光など眠っていた地力が甦り、壱岐の人々も自信を取り戻すことができたのでは。今後は島が直接世界とつながれるよう、アジア、そして世界へ売り込んでいきたい。「義のある戦いができるか」「義のある仕事か」義さえあれば、たとえ陽の目が当たらなかったとしてもいい。負けたとしても、よく戦ったと納得できます。『先義後利(道義を優先し利を後にする者は栄えるという孟子の言葉)』。この義が、私には大事なのです。

【柚子小町に関するお問い合わせ】
(株)イズミック商品部(横地)  電話(052)229-1613

代表取締役社長
盛田宏

『付加価値商品の提案』− 株式会社イズミック

 イズミックは、酒類食品総合卸売業として、お得意様の業態や要望に沿った支援活動を行うとともに、「付加価値」の高い商品を提案することを経営理念のひとつとしております。

 今回紹介された『柚子小町』は、弊社の持つネットワークと専門性を活かし、丁寧に商品を育てていき、中部地区で人気が出て、全国へ広がった商品です。

 このように、生産地にとっても価値の高い商品に育てられたことは、とてもうれしいことです。商品の提案、飲み方にいたるまで、きめ細かく情報発信をしてきた結果と思い、今後も引き続き努力をしていきます。

 これからのおススメは、壱岐焼酎協業組合さんの紫蘇リキュール『姫紫』もいいですね。

中日新聞朝刊 平成22年2月10日付掲載

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