インタビュー

株式会社フルハシ環境総合研究所代表取締役社長 船橋 康貴さん

エコな気持ちを行動に、感謝の想いで世界とつながる

家庭人の領域にまで、環境行動を誘発

 講演で「環境への取り組みはコストかメリットか?」と問うと、はじめは多くの経営者がコストと答えますが、終了後にはほぼ全員がメリットへと発想を転換されます。 

 私たちはみな、職場から一歩外に出れば家庭人。職場での環境教育を、家庭においても環境に配慮した生活を楽しむことに役立ててもらえたら―。環境教育をその領域にまで踏み込ませることを目標にしています。

世界のほっとけない事情を手助けする『エコモチ』

 「人が喜ぶことをモチベーションに」という発想を原点に、当社が企業向けに開発したエコモチベーションアップ推進プロジェクトが『エコモチ』です。

 職場では「パソコンをこまめに切る」「コピー時の裏紙利用」など。家庭では「こまめに電気を消す」「なるべく階段を使う」といったエコアクションをとるごとにポイントであるシード(種)が貯まっていきます。貯まったシードは貧困撲滅や地雷撤去、識字教育や植林などの活動団体へ、配分も自由に決めて贈ることができる仕組みです。返ってくる「ありがとう」とエコアクションを実行した時の「ありがとう」が照れくささを乗り越える動機や日々の元気の素になります。

 インターネットで参加登録し自分専用のページでエコアクションを申告する気軽さと、アクションごとにC O2削減とコストダウンがパソコン上で数値化して確認できるので、企業にとってもこれらのことを、楽しみながら社員に推進してもらえるというメリットがあります。

現在までに約二万人が世界とつながる

 『エコモチ』の企画当初は35社によるコンソーシアムの形で、議論しながら基礎を作りました。企業負担は、社員一人につき月間315円。反響はよく、現在までに68社約2万人が参加し、約235万シード、すなわち235万回、環境にいい行動がとられたことになります。それは約306トンのCO2削減と770万円のコストダウンに相当します。

 ポイントを集めて品物をもらうのではなく、自分のがんばりが世界とつながる実感。活動団体から届く「ありがとう」の知らせを全員が共有するのが特長です。

環境副読本を使用した中国の小学校での授業風景

教材革命といわれた、中国での『環境副読本』作り

 2004年に中国政府が主催する環境展で講演した際、蘇州市環境保護局と縁ができました。観光立市で企業誘致にも成功していた同市は、中国で最初にISO14001を取得。環境分野で中国一を目指していたこともあり、当社に環境啓発のための企画を依頼してきたのです。

 そこで提案したのが、小学高学年向けの『環境副読本』です。同市環境保護基金と中国の大手出版社、光明日報出版社が共同出版し、当社が制作を請け負いました。

 「環境活動は楽しい」をコンセプトに、イラストや写真を多用。お説教や、やらされている感を排除して五感を使ったワークショップも取り入れた内容で、教材の革命と評判になり、中国の環境科学学会でグランプリを受賞しました。この環境副読本は企業が購入し周辺の学校に配布する方法で活用されました。

親子を対象に環境のワークショップも実施している

COP10を、ライフスタイルをやさしくするきっかけに

 ヨーロッパの環境ノウハウが日本を越えてアジアへもたらされ、アジア諸国は積極的に環境への取り組みを進めています。アメリカも大きく変化しました。環境技術分野において先進国を自負する日本ですから、COP10でもリーダーシップを取っていきたいですね。

 『生物多様性』を、カーボンオフセットのようにどう「見える化」するか。数値化を試みる一方で、命への感謝や縁といった全てのつながりを修復することの大切さを再認識する必要があります。「地球が大変そうだけど、何をしたらよいか分からない」という声をよく耳にします。

 私たちは個々の行動のきっかけ作りとなるよう、生物多様性に関するワークショップや学習プログラムの実施の他、南大東島への生物多様性エコツアーなどを企画し、COP10やその後の明るく温かい未来に向かってがんばっていきたいと考えています。

中日新聞朝刊 平成21年11月10日付掲載

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