インタビュー

浜松モザイカルチャー世界博2009協会企画運営部長 内野義光さん 浜松市と協会が主催し、9月19日(土)〜11月23日(月・祝)まで、浜名湖畔のはままつフラワーパークで行われる花と緑の国際イベント、「浜名湖立体花博(浜松モザイカルチャー世界博2009)」の指揮をとる。土日は近隣のイベント会場に出かけ、同博のPRやチケット販売に努める。風景や花などを題材に、油絵、水彩画、パステル画などを描くのが趣味。モザイカルチャーを芸術として鑑賞してほしいと、新しい園芸アートの魅力を語る。

緑を知り尽くした人の手が、新たなアートを紡ぎ出す

三十数年間、荒廃した土地に木を植え続け、森を再生させた男の話「木を植えた男」を、カナダは作品のテーマに選んだ

ヨーロッパで生まれたモザイカルチャー

 モザイカルチャーとは、モザイク(幾何学模様)とカルチャー(文化)の造語です。絵画や彫刻などの芸術と、植物の魅力を活かす造園および園芸技術とが融合し、全く新しいジャンルの立体芸術を創り出しました。

  カーペット模様をあしらった花壇づくりが発展したヨーロッパで、その技法が確立され、19世紀にフランス・リヨンで、公園景観の修景技術として正式に認知されたといわれています。

「木を植えた男」の作品の一部

時の経過で変わる、造形物の輪郭や表情

 初めて目にする方からは、「植物でこんなものが出来るんだ!」という驚きや感動の声が聞かれます。

  まずデザイン画を描き、ワイヤーなどで作品の骨格を作ります。そこに細い水の管を通し、下地となる土を詰め込み、表層部に根のついた草花を植栽していくのです。

  その時、最も重要なのは、主役となる草本の色合い。どの植物をどの位置に使用するのか。ひとくちに緑色といっても、濃淡の度合いはさまざまです。植えた当初は緑色でも、植物の成長とともに色合いが変化していきます。紅葉して赤色になったり、枯れた色合いになったり。

  色合いの芸術性、立体感の創出、時間的変化、それら全てを完璧に表現するには、個々の植物が持つ特性を知り尽くしていなければなりません。たとえば、下のほうに多肉植物を植えると、水分が多すぎて腐ってしまいます。植物を熟知した人の知恵と技が、繊細で緻密な緑の芸術に、命を吹き込むのです。

  生きている植物が奏でるスケールの大きな調べを、自然とともに移り変わる色の変化で、楽しんでいただきたいと思っています。それは、人間の世界と自然の世界との融合、「人と自然のシンフォニー」というテーマそのものでもあります。

過去の出展作品(2000年)

過去の出展作品(2000年)

4度目の世界博に国内、海外の91作品が出展

 モザイカルチャーの本部は、生物多様性条約事務局のある、カナダ・モントリオールにあります。

  2000年のモントリオール市での第1回世界大会を皮切りに、3年毎に開催され、本大会で4回目。前会場は、中国・上海市でした。

  今大会には、カナダ、スペイン、中国、アメリカ、イエメン、ペルー、ツバルなど、海外24カ国と地域から、31作品が出展。日本国内からは札幌や名古屋市をはじめ、愛知県立稲沢高校や静岡県立磐田農業高校など、58都市・団体により60作品が出展され、計91作品が、芸術性や独創性を競い合います。

  高い技術力を誇るカナダは「木を植えた男」、ツバルは「沈みゆくポリネシアの楽園」といったタイトルがつけられ、各都市の文化やメッセージを、花と緑で表現しています。

過去の出展作品(2003年)

草花を愛する気持ちが支える世界博

 材料となる植物の栽培は、地元の園芸農家と連携し、2〜3年前から始まりました。親を作り、子を作り、孫を作ってというように。9万株が用いられている作品もあります。

  会期中は780名のボランティア・スタッフが、水やりや、伸びたところのカッティング、枯れた苗の植え替えなどのメンテナンスを行います。

  生きものだけに手間がかかるのは、当然です。日々の管理が大変ですが、市民の皆さんの花と緑を愛する気持ちが、この世界博を成功に導いてくれると信じています。

中日新聞朝刊 平成21年9月10日付掲載

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