【special】生物多様性対談

大桃美代子×さかなクン つながるいのちのなかにわたしがいる−いま、生物多様性を考える−

 地球温暖化など環境問題の影響により、世界では1年間に4万種の生物が絶滅しているとも言われ、このままでは地球上の“いのちのつながり”が途絶えてしまうかもしれない危機に直面しています。そうした今、私たちが生き物たちのためにできることは何でしょうか――。このほど環境省「地球いきもの応援団」に任命された、大桃美代子さんとさかなクンに、それぞれの体験を通した生物多様性と環境に対する思いをうかがいました。

 司会業や女優業もこなすマルチタレント。04年10月、新潟県魚沼市の実家で中越大震災に被災。その復興を応援するため、07年から故郷で古代米の栽培を開始した。白米に混ぜていただく大桃さんの「桃米」は、売上の一部を復興義援金に。雑穀アドバイザー、野菜ソムリエ、おさかなマイスターなどの資格を持ち、食育や農業にも造詣が深い。

 東京海洋大学客員准教授、お魚らいふ・コーディネーター、環境省「地球いきもの応援団」メンバー。魚の豊富な知識と愉快なキャラクターでおなじみの人気者。小学生の頃、タコの可愛らしさに魅了され、お魚博士の道へ。子供たちを中心に魚や海・自然からのメッセージを発信しようと、全国規模で講演活動等を行っている。著書も多数。

大桃さん、さかなクンの「生物多様性」とは?

大桃さん 無農薬米を育てはじめ3年目になります。田んぼは土の中に微生物やミミズがいて、それを食べるネズミやモグラがいます。水の中にはカエルやフナ、さらには野鳥やイノシシ、タヌキまでやって来ます。そんな彼らのおかげで苗や稲が育ち、全ての生き物がつながっているんだなってことが「生物多様性」です。小さな生き物たちが生きられない環境は、結局私たちも生きられないんだってことを、私は田んぼに教わりました。
さかなクン すばらしいです。水の中にも、わずかな環境の違いだけで、ひれの数が1本違ったり、模様に縁取りがあるかないかだけで種の違うソックリなお魚がいるんですよ。うっかりすると間違えちゃいそうなくらい。
大桃さん 「ウッカリカサゴ」ですよね?うっかり見逃していたんですね。
さかなクン

さすが大桃さん!学者さんがうっかりとカサゴに間違えたことから、「ウッカリカサゴ」と名付けられたお魚もいます。川や海の水深の違い、藻場や岩場、砂地、泥地などの環境に合わせた、様々な姿・形の種類のお魚がくらしているのがお魚の種の多様性です。そして、地球上で元はひとつだったかもしれない生き物が、魚類や両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類へ、環境に適応しながらどんどん多種多様に分化していった経緯が「生物多様性」の原点とも考えられています。
大桃さん その多様性の考え方は、魚だったら、お魚が食べている小エビなど他の生き物や、その環境もすごく重要なんですよね。
さかなクン はい。このまま環境を壊し続けたり、お魚を獲り続けたりすると、2048年にはもうほとんどお魚が獲れなくなるという研究報告もあります。また最近、海の水温の変化などで獲れるお魚の場所や季節がどんどん変わってきていることが問題になっていますね。
大桃さん そんな生き物たちが教えてくれるわずかな環境の変化にも敏感になって、本当に今こそ環境のこと、生き物のこと、しっかり考えなければいけないんですね。

田んぼと海、お魚もみんな、山からつながっているんですよ

さかなクン 水は良いものも悪いものも何でも溶かしてくれますよね。だから、田んぼと海のお魚のつながりも、もっと知りたいです。
大桃さん そうなの、さかなクン!水は山から流れてくる間に、田んぼを通っていくんですよ。その上流の水を汚さないことは、里に住む人間の使命でもあるんです。
さかなクン

なるほど。海の生き物には、陸から運ばれる栄養が必要なんですね!近年各地で起きた海藻が枯れる「磯焼け」という現象も、その”原点“に着目した漁師さんや地元の方たちが山に植林をされたところ、また海に海藻が復活したという素晴らしい報告もありますよね。
大桃さん そうそう。富山や宮城、広島でもそういう活動を始めていますね。私たちは山も海も農業も同時に作らなきゃいけないんです。まさに、このつながりを感じることが大切ですね。

来年のCOP10に向けて、私達「地球いきもの応援団」は頑張ります!

大桃さん

私は地球いきもの応援団として、田んぼに住む生き物の大切さ、そして、地球に住む者としての意識を高めていきたいですね。たった1年有機農業をやっただけで、色んな生き物が田んぼに戻ってきました。その自然の力強さや回復力を高めるためには、もっと環境に負荷をかけない農業を考えなきゃいけないって思います。
さかなクン お魚たちからいただいた感動をストレートに皆さんにお伝えしながら、日本中のお魚の不思議や魅力、食べ方などもご紹介させていただきます。日本には4000種を超えるお魚がいるのですが、そのうちに魚屋さんに出回るお魚の種類は、年間を通してもわずか数百種と思います。まだまだ多くの種のお魚が人知れず、利用もされず、漁師さんの網にかかっても、「売れないから」と捨てられてしまうこともあります。でも、それぞれのお魚はもっと美味しくいただけるはずだし、それで食料自給率も上がると思います。よく似たお魚にも、全てのお魚に固有の特徴や魅力があります。その魅力を皆様と一緒に考えさせていただきます 。
大桃さん 私も農業3年目の今年は虫の多様性にも注目しているんです。7つ星テントウ虫(ナナホシテントウ)と違ったテントウムシが見られるようになったとか、カエルの種類が去年とは違うとか。それはもしかしたら環境が影響していることかもしれませんよね。そうした田んぼでの経験をブログなどでも情報発信していきたいと思います。
さかなクン 大桃さんの古代米作りの話にもとても感銘を受けました。ぜひもっと、白米に混ぜて美味しくなる古代米の魅力もお伝えしてください!
大桃さん はい!さらに、私たちのお米と魚をドッキングして、日本の素晴らしい魚食文化を一緒に伝えていけたらいいですね。
さかなクン いいですねぇ、大桃さん、すばらしいです!!

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

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