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トウインヤエヤマザクラ1号樹枯れる 形見の根に希望の芽 隣に植栽「2世に」

2018年02月02日

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 ヤマザクラの突然変異株で、三重県員弁郡東員町初の天然記念物「トウインヤエヤマザクラ」が昨秋枯れ、伐採された。町は枯れる前に採取した根を"忘れ形見"として育て、再生を目指している。根は1.5メートルほどの幼木に育ち、今春にも花を咲かせる可能性があるという。 (遠藤康訓)

 (写真)1.5メートルほどに成長し、芽を付け始めたトウインヤエヤマザクラの幼木。後方は枯れて伐採された原木の切り株=三重県員弁郡東員町城山で

 トウインヤエヤマザクラは同町城山地区内に2本あり、枯れたのは1994年に発見された1号樹。植物分類学者(元京都大講師)の村田源さん(90)=京都市=が、1つの花に2つ実を付ける突然変異株「コノハナザクラ」(京都府亀岡市天然記念物)との類似性を認め、町は96年に第1号の天然記念物に指定した。2号樹は、98年に同じ城山地区で見つかった。

 ヤマザクラの寿命は200〜400年とされる。2本とも樹齢は80年前後だが、1号樹は土壌との相性が悪かったとみられ、2013年夏から樹勢が急激に衰えた。

 土の入れ替えによって一時回復したが、一昨年夏に再び弱り、昨春は開花しなかった。昨年9月、樹木医が枯れたと診断。台風接近による倒木の危険性を考え、10月19日に伐採した。

 町は原木の手当てと並行し、15年2月に枝の切り口から2次的な根「不定根」を採る試みを始めた。1本だけ伸びた不定根を昨年6月に切り離し、原木の隣に植栽。今のところ順調に育っており、先端には赤い芽を付け始めている。

 町の担当職員は「2世として育てていきたい。子孫も残してくれたら」と期待をかける。2月の町文化財調査委員会で、天然記念物指定の継続を諮る。

 約350種の桜をそろえる「日本花の会結城農場」(茨城県結城市)の田中秀明農場長は「種子には半分別の遺伝情報が交ざるため特徴を引き継がず、一重咲きになる可能性すらある。不定根なら花弁の枚数などが変化する場合はあるが、ほぼ同じものになるだろう」と予測する。「コノハナザクラと特徴は似ていてもまったく別個の木。人間が1人1人違うようにここにしかない。地域で末永く愛してほしい」と願う。

中日新聞朝刊(三重) 2月2日付掲載

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