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富山植物誌 改訂近づく ボランティアら調査15年 発見100種超、標本10万点

2018年01月07日

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 地域の植物を分類した「植物誌」は、人間の世界で住民基本台帳に当たる基礎資料。富山では「富山県植物誌」の改訂に向けた作業が最終段階に入った。改訂に携わる主力は植物好きのボランティア。調査は15年にわたり、日本の植物誌を書き換える成果も。必要な標本は10万点に達し、文献として精度も上がった。来年以降に完成する見通しだ。(山本真士)

(写真)採取した植物の標本の種類を特定するメンバー=富山県中央植物園で

 「これナンバンかな」「いや、葉の裏全体に白い毛があるからカラムシだ」。富山県中央植物園(富山県富山市)で昨年末、ボランティアと職員が同県中新川郡立山町で採取した複数の植物を、図鑑や他県の文献と突き合わせて種類の特定に没頭していた。

 改訂に伴い新たに100種類以上を発見。国内10カ所程度でしか見つかっていない希少種も少なくない。立山連峰で確認したカヤツリグサ科のミチノクホタルイは、それまで日本の植物誌で西限が斑尾高原(新潟、長野県)、南限が群馬県嬬恋村とされていた。

 植物誌は、絶滅危惧種をまとめた「レッドデータブックとやま」や開発に伴う環境影響評価「環境アセス」など植物調査の基礎になる。最新の富山県植物誌は1983年発行。20年が経過した2003年、ボランティアでつくる富山県中央植物園友の会に植物誌部会が発足し、改訂が本格的に始まった。

 調査は根気の積み重ねだ。情報が少ない場所を訪ねて全ての植物を調べ、葉など状態が良いものを採取。自宅に持ち帰り、形を整えたり水分を除いたりして標本を仕上げる。

 現在の主要メンバーは20〜80代の10数人。発足時から活動を続ける主婦(72)=同県射水市=は「みんなで動いていると1人では見えないものが見えるし、行きづらい場所に行ける。若い人たちと話せるし、楽しいことばかり」と話す。

 作業は執筆段階。植物園の担当者は「地味だが植物の研究では重要な仕事。できる限り早い時期に改訂を果たしたい」と意気込む。

石川、改訂予定なし

 石川県も最新の植物誌は1983年の発行。ただ、「いしかわレッドデータブック植物編」の更新を優先に進めており、今のところ改訂する予定はない。

 標本は石川県金沢市の金沢大と石川県立自然史資料館が各30万点を所蔵。資料館は、種類が判明するとインターネット上の世界的な植物のデータベースへ送信し、最新情報を公開している。

 植物の分類に詳しいNPO法人石川県自然史センターの古池博・前理事長は「植物誌は1970〜80年代に全国各地で発行され、標本や分布などを詳しく記す2世代目を作る時代になっている。富山の改訂は良いことであり、関心を持っている」と話している。

北陸中日新聞朝刊(富山) 1月7日付掲載

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