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緩やか水路で魚増やせ 「落差工」あると魚種6割減 県水産研究所が147水系調査

2017年09月03日

 農業水路と河川の合流部分に大きな段差を設けた「落差工(こう)」があると、魚の遡上(そじょう)が阻害され、水路に生息する魚の種類が6割ほど減ることが、岐阜県水産研究所(各務原市)の調査で分かった。同研究所は県や地域と連携し、段差を緩やかにする工事を施すなど、魚の生息域の保全に取り組んでいる。(兼村優希)

 研究所は、2012年から県内の147水系の水路で、魚を網で捕獲して生息数を調べ、水路沿いを歩いて落差工の設置状況を確認してきた。落差工なしでは平均10.19種が生息していたが、落差工ありでは平均3.32種と6割超少なかった。

 専門研究員の米倉竜次さんは「川より水温が高くて浅い農業水路は、多くの魚類が繁殖や成長の場として利用する。岐阜県の多様な水域環境の維持に貢献している」と力を込める。だが、農業の効率化のための農地整備で、水路の勾配を安定させて川へ速やかに排水をうながす落差工の設置が増えてきた。

 豊かな生態系を再生させようと、研究所は15年から県農政部などと連携し、検討会を立ち上げた。魚種の減少数や水路の規模などを基に、関市と可児市の計3カ所をモデル地区に設定。落差工の傾斜を緩やかにし、階段のように石を配置して魚が遡上しやすくするなどの改良を施した。すると1年後には、関市の2カ所で6〜7種増え、効果が認められた。

 研究所によると、県内には計1500水系以上の水路があると推定される。米倉さんは「環境整備につなげ、水産業の振興にも役立てたい。今後5年間でほぼ全ての場所を調べ、改善効果が予測できるような研究を続ける」と話している。

中日新聞朝刊(岐阜) 9月3日付掲載

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