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バイオマス効果 間伐材取引好調 大野 発電所が燃料で買い取り

2017年04月18日

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美山・山の市場 取扱量 予想の6倍

 間伐材を買い取ることで、山林整備と地域活性化を目指して昨年3月に開設された福井県福井市美山地区の「木ごころ山の市場」が好調だ。1年間の取扱量は当初見込みの6倍ほど。同時期に同県大野市で木質バイオマス発電所が稼働したことが背景にあり、自然環境や地域経済に好循環が生まれている。(中崎裕)

(写真)「山の市場」の開催日に合わせて木材を持ち込む人たち=13日、福井県福井市朝谷町で

 13日朝、福井市朝谷町にある美山町森林組合の貯木場「ウッドターミナル」に、小さな丸太を積んだ軽トラックが列をつくった。

 「これまで売れなかった物が収入の足しになるから助かっている」。車列の男性たちはそう口をそろえる。運び込むのは、所有する山などで間伐した木が中心だ。

 山の市場は、2015、16年度の県支援事業として、嶺北6カ所で森林組合が中心となって開設。組合員である山林所有者に間伐など山を手入れする意欲を促し、収入につなげてもらう狙いがある。同県池田町に続き2番目に始まった美山の市場には148人が登録し、うち80人ほどが木材を売りに来ている。

 美山町森林組合の高松武法さん(62)は「市場開設前は地区で10人ほどしか山に入っていなかったと思う」と話し、「山に入ってもらうため現金で赤字覚悟の買い取り価格を設定した」と説明。間伐材などを買い取る仕組みは全国的にも広がっているが、地域通貨で支払うケースが多く、現金にしたことも好調を支えたようだ。

 市場は1年間で28回開かれ、1226トンの木が持ち込まれた。16年度は1トン当たり8500円で組合が買い取ったため、計1000万円ほどが地域の山林所有者の収入につながったことになる。高松さんは「始める前は200〜300トンほど集まればと思っていた」と予想以上の広がりを喜ぶ。ただ、赤字幅を縮小するため今月からは買い取り価格を7000円に引き下げた。

 成功の背景には、昨年4月に福井グリーンパワーが稼働させた木質バイオマス発電所の存在が大きい。間伐材や端材は薪にするか、細かく砕いて製紙業で使うチップにするくらいしか行き場がなく、山に放置されがちだったが、発電の燃料に使えるようになった。

 出力7000キロワットで1万5000世帯分を発電するこの発電所で使うチップは、年間8万トンほどに上り、山の市場に持ち込まれた木材をほぼ全て買い入れている。グリーンパワーの佐久間英明社長(54)は「安定して燃料が集まり、ほぼ県内で調達できている」といい、県内の他の森林組合にとっても端材などの受け入れ先となっている。

 発電が山の整備を促し、中山間地の収入につながる好循環ができつつある。同社は発電で生じる灰や熱を農業などに活用できないかも探っており、さらなる輪の拡大が期待されている。

木質バイオマス発電

 木のチップを燃やし、蒸気でタービンを回して発電する。発生する二酸化炭素(CO2)は木々が吸収した分だけなので、化石燃料と違い、地上のCO2を増やさない再生エネルギーとして注目が集まっている。

中日新聞朝刊(福井) 4月18日付掲載

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