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天然サクラマス 人工床に産卵 県内水面総合センター設置 九頭竜川 資源回復に期待

2017年03月09日

 福井県内水面総合センター(福井市中ノ郷町)が考案し、同県勝山市の九頭竜川支流に設置した人工産卵床で、天然のサクラマスによる産卵が確認された。センターは「ゆりかごのような役割があり、安全にふ化させることができる」などと、資源の増大に結び付く成果とみている。(山本洋児)

 センターによると、人工の構造物を川底に埋めて産卵につなげたのは全国初。川底に直接小石をまいて産卵場所を造成する例はあるが、増水などにより消失してしまう恐れがあった。

 人工産卵床は鉄製のかご型で高さ40センチ、幅125センチ、奥行き80センチ。底面と側面に網を張り、中には大、中、小の石を4層に敷き詰めた。卵は、他の魚に食べられないよう石の下に隠れ、十分な酸素量が確保される構造になっている。側面には植物のヨシを差し込み、親魚の隠れ場とした。

 九頭竜川はサクラマスの釣り場として全国的な人気だ。サクラマスは10月に入ると産卵のため支流に上るが、農業用のせきなどが造られて川底の環境が変わり、良い産卵場がなくなっているという。

 センターは2015年度から、地元漁協や釣り愛好者グループ「サクラマスレストレーション」と連携し、3年計画で人工産卵床を使った資源の増殖に取り組んでいる。

 初年度は魚道とともに産卵床を設置したが産卵は確認できなかった。再設置した2年目は、昨年10月末にセンター職員が産卵床の周囲で産卵行動を確認。12月に産卵床から直径5ミリの卵1個を採取してセンターで管理し1月中旬にふ化した。

 センターの岩谷芳自所長は「人工産卵床は増水など環境変化の影響を受けない。産卵が確認できた意義は大きい」と、増殖への第一歩と位置付ける。産卵床の設置は17年度も続ける。

 ふ化した稚魚は今月末までセンターで展示されている。入場無料で月曜休館。

 サクラマス

 サケ科の魚。河川にとどまって成長したものはヤマメと呼ばれる。諸説あるが、生後1年ほどで海へ下り、1年の海洋生活を経て、体長60センチ前後になって生まれた川へ戻るとされる。

中日新聞朝刊(福井) 3月9日付掲載

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