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太陽光で水素生成 名工大開発、CO2出さず

2015年02月25日

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 名古屋工業大(名古屋市昭和区)の加藤正史准教授のグループが、太陽光をエネルギー源にした水素の新たな生成技術を開発した。水素で走る燃料電池車(FCV)が登場し、水素が次世代エネルギー源として注目されるが、現状ではほとんどが化石燃料からつくられて二酸化炭素(CO2)が発生する。化石燃料に頼らず、CO2が発生しない水素を作り出す方法で、実用化への期待が高まる。3月の応用物理学会で発表する。

(写真)光に当たると水を水素と酸素に分解するシリコンカーバイド(SiC)=名古屋市昭和区の名工大で

 シリコンカーバイド(炭化ケイ素=SiC)と呼ばれるシリコンと炭素の化合物を半導体として利用。SiCを1つの電極に使い、もう一方の電極とともに水に浸し、SiC電極に光を当てると電流が発生し、水が電気分解されて水素ガスと酸素ガスが生成される。

 半導体に光を当てると水が分解される現象は「人工光合成」と呼ばれ、1967年に日本人研究者が発見した。光を当てる電極として考えられた従来のガリウム化合物などの半導体は腐食しやすく、水素の生成効率も悪いという課題があったため、グループは、腐食しにくい素材のSiCに着目。耐久性があり、水素の生成能力が高い半導体を作ることに成功した。

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 現時点で装置のエネルギー変換効率は0.46%ほど。太陽光を10平方メートルのSiCに当てた場合、FCVを500メートル動かすのに必要な水素を1時間で生成できるレベルという。太陽光発電では市販品でも20%ほどのエネルギー変換効率のものもあり、実用化にはさらに生成能力を上げる必要がある。SiCは1平方メートル当たりの製作費が数千万円ほど。同サイズの太陽光パネルに比べ数百倍も高価という課題もある。

 加藤准教授は「SiCと装置の構造の改善により、水素生成量はさらに向上できる可能性が高い。コストの面もクリアして実用化すれば、環境負荷の低い社会に大きく貢献できる」と話している。

 人工光合成に詳しい東京理科大の工藤昭彦教授(光電気化学)は、SiCを使った水素生成について「今までにない材料を使い、電極が腐食せずに水素の高い生成効率を得られたのは面白い。実用化に近づく結果だ」と評価しながら、「太陽電池よりコストが安いシステムにするには、まだまだ技術開発が必要」と指摘している。

中日新聞朝刊(愛知) 2月25日付掲載

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