What’s COP10?

COP10が愛知・名古屋に残したもの(後半)

 前回のコラムでCOP10の成果として、地元の名前の付いた議定書や目標が掲げられたという報告をした。

 名前の付いた議定書やターゲットができたので安心、これで終わり、ということではなく、これからの取り組みが重要となる。特に前回からの2010年目標は達成できなかったという反省を活かすこと、2020年に目標が達成されなかったということになると、「愛知・名古屋での会議は何だったのか」という声が出てきかねない。会議のなかでも行政、企業、市民がそれぞれ継続して取り組みを行っていくことも確認された。特に、日本の場合はこれから二年間が議長国のため、一過性のイベントにしてしまわず、またこれまでは、どちらかというと行政が音頭をとってきた側面もあったが、今後は企業や市民が主役となっていく番だ。

 特に、今後の10年を「国際生物多様性の10年」とすることが決まり、今後どのような仕掛けで活動していくのかといったことについて、具体的なアイデアと取り組みが重要となってくる。地元から、企業から、学校からなどなど、さまざまな取り組みが期待される。まずは2011年の国際森林年、2012年のインドでの次回の締約国会議COP11やブラジルでのリオ+20の会合、2015年のミレニアム開発目標など節目、節目で経過を報告していくということが大事だ。

 例えば世界各国の里山と類似したモデルから、伝統的な知識と科学的な知識を融合させていくSATOYAMAイニシアティブもスタートした。また都道府県や市町村などの自治体にとっては国際自治体会議、若者や児童にとってはユースやこども会議が開催された。さらに産業界にとっても、「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)の最終報告や経団連の生物多様性民間参画イニシアティブなどが発足した。このような大きなうねりを活かしていくことが重要となる。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

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