What’s COP10? 一覧に戻る

科学と政策の対話の場:生物多様性にとっての重要性

 国内では政界での動きが慌ただしいが、生物多様性をめぐる国際情勢も同じくらい激しい駆け引きが続いている。

 気候変動と比べて、国際社会での生物多様性の政策的な対応が遅れている理由の一つとして、政策と科学の対話の場がうまく機能していないからではないかという議論がある。実際にはこれまでも2005年のミレニアム生態系評価(MA)や科学者の団体による評価や議論は行なわれてきたが、国連内での恒常的な組織とはなっていない。あるいは条約の条文では、科学技術助言補助機関(SBSTTA)が設置されている。ただ、SBSTTAは科学的な目標が課されているが、政治的な思惑や駆け引きに左右されてしまっている、いわばCOPの前哨戦となっているのではないかといわれている。5月の会合でも残念ながらポスト2010年目標に関わる議論はなかなか合意に至らない難しさを露呈した。

 そこで、登場したのが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の生物多様性版を設立できないだろうか、科学と政策の対話(インタフェース)を設置しようという構想が持ち上がった。これは、いわゆる生物多様性および生態系に関する政府間プラットフォーム(IPBES)と呼ばれる一連の会合となっている。これまでのさまざまな科学的な団体やMAを踏まえながら、設置していこうという機運になっている。

 今月6月7日から11日までは、韓国において、IPBESに関わる第三回会合が開催されている。ドイツと日本国政府が設置を支持しているIPBESが設置されるのかどうか、条約とどのような関係となっていくのか、注目が集まる。

 IPBESに関するホームページ(英語):http://www.ipbes.net/

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト

書籍の案内

4月に「中小企業のキラリと光る地域での取り組み」で中小企業について論じました。
今回、愛知県内の生物多様性に関わる中小企業の取り組みを取り上げた「中小企業の環境経営 地域と生物多様性」(岸田・香坂 編)を上梓しました。
是非、ご覧ください。

お問い合わせはサンライズ出版まで 電話0749-22-0627


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ