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中小企業のキラリと光る地域での取り組み

 生物多様性や生態系サービスに関わるのは、グローバルな大企業や上場企業に限らない。東海地域の中堅、中小の企業にとっても生物多様性は取り組むべきテーマとなりうる。大企業と異なり、中小企業の場合は、地域で長期的に活動してきている企業も多い。なかには、地方の清掃や防災活動、小中学校への出前講座を行なうなど、東海地方には地道に地域に根ざして活動してきた企業も数多く存在する。

 中小企業の多くは、大企業に負けない一芸に秀でた「ひかる技術」があるので、企業として生き延びているケースもある。また、海外からの研修生を直接受け入れるなど地域性と合わせて国際性も豊かである。災害や恵みをもたらす自然との付き合いなど地方独自の生態系についての経験が豊かな中小企業も存在する。

 さまざまな中小企業をひとまとめに論ずることはできないが、あえて特色をまとめると、
 (1)地域性と国際性が豊かである
 (2)特化した技術をもっているケースがある
 (3)組織内の意思決定が大企業と異なり、迅速にできることもある
 (4)製品が完成するまで、サプライチェーンが短いことが多い

 上記の特色をうまく活かしながら、地域、国内外の生態系や生物多様性の分野で中小企業が貢献できる。生物多様性に関わる分野では、地域の食材や木材を扱う、飲食業、住宅などだけではなく、土地利用を改変する建設業、啓発活動を行なう人材育成などで製造業、融資先への影響力を活かして金融業も貢献できる余地がある。

 中小企業はどちらかというとアピール下手で、報道機関、行政、市民社会もそのような取り組みを応援し、注目していくアンテナを持つことが後押しとなる。いま、大企業だけではなく、製造業やサービス業などさまざまな分野で、中小企業も、その地域性を活かしながら、10月に愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約の第10回締約国会議に貢献していくことが求められる。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

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