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デモとCOP:コペンハーゲン(COP15)の教訓

 大きな国際会議には、デモや反対運動がついて回ることが多くなった。特に、安全保障・軍事、人権、経済などは感情的になりやすいテーマといえる。過去にはG8サミットや貿易のグローバリゼーションに関わる会合などで、死者を出すまでに至った。

 かつて、「ジェンダー(文化的な性別差)・階級・人種」の差別や格差の是正が社会運動の御三家といわれた。現在のデモは、南北の格差、反グローバリゼーション、あるいはフーリガンのような衝突自体を志向する集団などさまざまな要素も絡み合っている。

 環境に関わる国際的な会議でも、デモや衝突が繰り返されている。反グローバリゼーションや発展途上国との連帯、早急な行動を求める活動、企業や商品のボイコットなどさまざまだ。昨年12月、デンマークのコペンハーゲンで開催された気候変動枠組条約のCOP15が紙面を賑わせた。環境をめぐる会議ながら、温室効果ガス削減の合意を求めるデモ隊と警察官の間で、逮捕者や怪我人もでる激しい応酬が繰り広げられた。2008年にドイツ・ボンで開催されたCOP9でも、農作物の遺伝子組み替えの導入、先進諸国の行動の遅さに対する反対運動などが起きた。

 COP10でも、火種となりかねない難しい事項が議論されること、また日本に対して欧米などの非政府組織や報道機関が厳しい視線を向けてきた過去の経緯なども踏まえ、楽観視はできない。しかし、様々な意見を表明し、それを尊重することは大事だが、派手なアクションや違法な行為に対する見方は賛否が分かれよう。いずれにしても、場外乱闘のようなデモのアクションばかりがハイライトされ、肝心の本番の会議が政治家の写真撮影のための会議などと批判される事態を避けるためにも、国際的な合意を育んでいく必要性がある。

 かつて、在住していたドイツ南部のフライブルクで非常に印象的であったデモの場面でのやりとりがある。ネオ・ナチの団体が街のなかで数十人規模のデモをすることに対して、千人を超える大規模なデモで対抗しようという試みであった。参加者の反対の運動は、「襲われやすい外国人や住所がない人々を保護するためのものか」と聞いたところ、「原則は自分たちのため」という答えであった。

 多様な意見を尊重するためには、自分、あるいは社会にとって、何がベストで、どのような方法で伝えるのがいいのか、COP10はそれを考える機会にもなりそうだ。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

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