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地域社会と都市、生物多様性とエコロジカル・フットプリント

 私たちの生活水準を維持していくために、どれだけ地球の資源や生態系に負担をかけているのかを可視化していく手法の一つに「エコロジカル・フットプリント」という考え方があります。

 エコロジカル・フットプリントは人間1人あたりに必要とされる生産可能な土地面積で表わされます。日本は北米ほどの負荷はかけていませんが、それでも日本の生活水準を世界人口に当てはめると、地球が二つ以上必要となる計算となります。また実際には、日本の生活は、食料、木材資源、漁獲資源、エネルギーなどを輸入し、貿易を通じて成り立っています。大きな恩恵を受けている反面、実は他国の生態系に大きな負担をかけているということです。

 さて、同様のことが、都市と地域社会についても当てはまります。都市の自給率は0〜2%程度です。東京、名古屋も、1%前後の自給率です。地域社会の生態系からの恵みに依存しながら、都市生活を成り立たせていることが分かります。

 来年のCOP10に向けて、生物多様性の保全と持続可能な利用のために、自治体の役割を考えていこうという国際的な会合や運動が展開されていく予定です。愛知県や名古屋市としても、日本の地域社会と都市の連携やあり方、直面している困難な課題についてさまざまな意見を交わす予定です。

 都市であると同時に、国家でもあるシンガポールは、「都市の生物多様性に関わる指数」の策定を推進しています。国連、非政府組織、名古屋市、ブラジルのクリチバ市、カナダのモントリオール市を巻き込む形で展開しており、愛知県や名古屋市としても独自色を出していくために議論を重ねていく必要がありそうです。

 また、科学者では、「都市における生物多様性とデザイン」(Urban Biodiversity & Design略してURBIO2010)という国際的な学術会議を来年の5月に名古屋で予定しています。今月14日には名古屋都市センターでも公開シンポジウム「自治体からみた『都市と生物多様性』」(詳細はこちら)が企画されるなど、さまざまなセクターが取り組みを始めています。

エコロジカル・フットプリントとは

※EICネット「環境用語集」(http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2870)より/運営・財団法人環境情報普及センター

 人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法のひとつで、人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)として表わされる。

 例えば、あるエコロジカル・フットプリントでは、1)化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積、2)道路、建築物等に使われる土地面積、3)食糧の生産に必要な土地面積、4)紙、木材等の生産に必要な土地面積、を合計した値として計算される。この場合、アメリカで人間1人が必要とする生産可能な土地面積は5.1ha、カナダでは4.3ha、日本2.3ha、インド0.4ha、世界平均1.8haとなり、先進国の資源の過剰消費の実態を示すものである。これは人間が地球環境に及ぼす影響の大きさとみることもできることから、エコロジカル・フットプリントつまり「地球の自然生態系を踏みつけた足跡(または、その大きさ)」と呼んでいる。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

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