What’s COP10? 一覧に戻る

COP10、いよいよ開催1年前

海外の人々に、アイチ・ナゴヤを知ってもらおう。ジャパンは東京、京都だけではない!

 海外の方々にとって、一般的なジャパンのイメージは、大都会東京か、古都京都の二つに絞られる。

 よく聞かれる質問の一つに「毎朝、駅員が通勤客を電車に押し込んでいるが、あれは本当か」といったたぐいのものがあります。東京の高層ビル、最先端のテクノロジーと相まって、人ごみの印象が強いようです。

 次に「ゲイシャをみたことがあるのか」もよく受ける質問です。日本を訪れたことがある人々にとって京都は人気があります。日本人からすると若干古い印象の、将軍・サムライ・ゲイシャの像を、海外での現地のテレビ番組や本から抱く人が多いことにはびっくりさせられます。ゲイシャはチョコレートやツナの缶詰などでもよく使われる名称です。

 海外の方々が抱く、最先端の技術と伝統という両極端なイメージのなかですっぽり抜け落ちているのが、日本の地域社会、特に農村や山村です。日本の森林面積が国土の7割近くになると言ってもなかなか信じてもらえませんし、地域地域でさまざまな食べ物、工芸品の特産品やお祭りなどの行事があることはそれほど知られていません。その多くが、地域や季節ごとの生態系、生き物と深い関わりのなかで営まれてきたもので、生物多様性とも大きな関わりがあります。例えば、八丁味噌は麹という微生物の生物資源を利用してできているものです。

 COP10には海外から数千人のゲストがきます。それも、普段は地域で活動されているNGOの人々から、政府の高級官僚や大臣クラスの方々まで、幅広く関心をもって活動をしている人々がきます。里山などの日本の地域社会を広く知ってもらおうと政府もイニシアティブを立ち上げていますし、地元アイチ・ナゴヤにとっては、「ジャパンは東京、京都だけではない!」ということを知ってもらう絶好のチャンスです。東海地域、アイチ・ナゴヤの人口や産業の規模は、他の国々にとっても多すぎず、参考となる点があります。特に、第一次産業の農業・林業・水産業と、自動車など輸送用機器の工業の両方が盛んであるという点は、非常に参考となりそうです。例えばフィンランドという国は人口が550万人ですから、愛知県の人口の規模に近く、地域での政策や取組は、大都市の東京などよりも参考になります。

 東京、京都ではなく、またリゾート地でもない、当地でCOP10が開催されるということは、海外の人々にとって日本の新しい顔を知るきっかけとなるかもしれません。日本にとっても観光、漫画産業などソフトな分野の海外発信を行う貴重な機会です。生物多様性というキーワードで、生物多様性の首都として環境面での活動を続けながら、海外の日本ファンや観光のリピーターを増やしていくための、売り込みとアピールが求められています。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

2016 愛知環境賞

第75回 中日農業賞

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ