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 COP10とは? 1年前に意義を確認しましょう

 「生物多様性」という言葉よりも、COP10(コップテン)のほうの知名度のほうが高くなりつつあります。科学と内容から入るもよし、イベントから入るもよしで、幅広い方々に関心を持っていただくことが重要と思います。

  スケジュールとしては、2010年10月11日から15日は、“遺伝子組換え生物(LMO)の国境を越える移動”について話し合いが行なわれる予定です(カルタヘナ議定書)。条約のなかでも議定書という法的な拘束力が強い形の内容で、締約国のうち150カ国程度が参加しています。10月18日からの約2週間は、条約全般に渡っての議論が幕開けします。2009年8月にイラクが加わることが表明され、現在のところ192の国と地域が参加予定です。主要国では米国を除いてほとんどの国が参加しますので、名古屋に沢山の国々の人々が集うわけです。

 次に2010年の会議の意義についてです。

  いろいろな見方ができますが、まず、2010年は1年間を通じて、生物多様性について知ってもらおうというキャンペーンの年といえます。これは、条約のなかだけではなく、国連全体の話です。今年9月末にも国連本部において、気候変動についての首脳級会合が開催されますが、2010年は生物多様性について国の代表の方々に話し合ってもらう機会であり、移動式の生物多様性の博物館やワールドカップと合わせたキャンペーンなども開催されるかもしれません。

  次に、2010年は生物多様性の損失速度を食い止めようという「2010年目標」の年に当たります。2002年にオランダのハーグで採択された生物多様性条約で掲げて行動してきた目標です。損失速度を食い止めるというと、なかなかピンとはこないかもしれません。海、森、生物種、生態系の質から、地域固有の文化など、さまざまな観点から評価が行なわれ、達成はなかなか厳しそうです。その後の2020年までの目標(「ポスト2010年目標」と呼ばれています)なども話し合われる予定で、2010年は節目の年といえます。

  国際的には、先進国といわれる産業が発展した地域と、発展途上国といわれる経済的には低い水準ですが、熱帯雨林などの生物多様性などの自然資源を多く抱える国々が、微生物の遺伝資源の利用についてお互いに歩み寄り、納得のできるような国際制度をつくれるのかどうかが、まず大きく注目されています。英語の頭文字をとって「ABS」の問題といわれるものです。条約発足から四半世紀以上続いている議論について、国際制度がどのような形になるかに、海外メディアと参加者は注目しています。

  会議の内容としては、内陸水(淡水の湿地・湖・河川など)や沿岸・海洋域が集中的に議論されます。水産資源の枯渇と生物多様性への圧力など、日本にも関係が深く、難しい課題が出てくる可能性もあります。また持続可能な利用という分野では、世界の里地・里山・里海についての議論が出てくるかもしれません。このように、環境についての条約という位置づけですが、私たちの生活や食卓(社会や経済)とも密接に関わるテーマと議論が行なわれる予定です。

  是非、2010年の会議では、専門家だけの議論だけではなく、市民や企業で働く方々も関心をもって議論をフォローしていただければ、地域全体、国全体での議論の盛り上がりとその質も高いものになると思います。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

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