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今日は何の日? 記念日から読み解く生物多様

 生物多様性の日、桜桃忌、海の日。これらの日がいつか、読者の方はお分かりになるだろうか。答えはそれぞれ、5月22日、6月19日、7月20日(正確には7月の第三月曜日)。

 恐らく言い当てるのに一番難易度の高かったのが生物多様性の日。去る5月22日は、生物多様性の日であった。条約が採択される前の1992年5月22日に、ケニアのナイロビで生物多様性条約を成立させるために開かれた交渉会議において、条約本文が満場一致で採択され、国連が「国際生物多様性の日」として定めている。

 「認知度が低い」、「分かりづらい」、「応援が少ない」。5月22日はこの三重苦にあえぐ生物多様性にあって、とにかく面白さ、身近さを知ってもらうためにも、会議の主催が決まっている愛知県、名古屋市など地元にとって貴重な機会。今年のテーマは、少し難しめで「侵略的外来種」であったが、セイヨウオオマルハナバチ、アルゼンチンアリ、ブラックバスなど私たちの住宅、農地、湖など身近なところで外来種は存在している。日本のシロアリよりも急速に増えているアメリカカイザイシロアリなど、実際に住宅への大きな被害をもたらしている外来種の問題も存在する。

 次に、6月19日の桜桃忌。文学好きの方なら、ピンときたかもしれない。太宰治が生まれ、また入水した多摩川上水から遺体が発見された日だ。「桜桃」は自殺する直前の作品で、ちょうどさくらんぼが旬の果物であったことから命名された。俳句には季語があり、文学作品には四季に彩られた作品が数多く存在する。地域ごとの自然の多様性を慈しんできた伝統を伺わせてくれる日ともいえる。偶然だが、名古屋市の開催する「生物多様性なごや戦略」の第一回策定会議は2008年の6月19日に開催された。

 さて、最後に祝日ということで、身近なのが、海の日の7月20日。その由来は、明治天皇が東北地方を巡幸し、横浜港に帰着したことに因んだ日となっている。海の恩恵に感謝する日でもあると同時に、「海洋国日本」の繁栄を願う日でもある。まず、魚介類、塩、レジャーなどの海の恩恵が思い浮かぶ。ただ、海の恩恵はそれに留まらず、世界とのつながり、船の行き来、貿易において、日本が豊かな生活を享受していることに思いを馳せることも海の日は謳っている。最近は不況で潮目が変わったといわれるが、名古屋港は、日本の貿易黒字の大部分(2008年で8割程度)を稼いでいる。これも海の行き来があってこその繁栄。また、私たちの食卓、住居、衣服、レジャーシーンでは、輸入という形で国外の自然や地域から得られた恵みが海を渡って日本にもたらされている。熱帯雨林やサンゴ礁の破壊は遠い国の話のように聞こえるが、7月20日は私たちの生活が生物多様性の破壊と恵みいずれとも、つながっていることに思いを馳せてみよう。

 COP10支援実行委員会アドバイザー 名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授 香坂 玲

 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)公式ウェブサイト


著者プロフィール

香坂 玲(こうさか・りょう)

静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。ハンガリーの中東欧地域環境センター勤務後、英国で修士、ドイツ・フライブルク大学の環境森林学部で博士号取得。2006年からカナダ・モントリオールの国連環境計画生物多様性条約事務局の勤務を経て、4月より現職の名古屋市立大学大学院経済学研究科の准教授(林業経済、環境政策論)。COP10支援実行委員会アドバイザー。国連大学高等研究所客員研究員を兼務し、里山の評価などに参画。

著書『いのちのつながり よく分かる生物多様性』<中日新聞社刊>発売中。

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