アラスカに暮らす

“宝の山”に集う人々 〜アラスカに暮らす(97)〜

2013年03月18日

アラスカに暮らす(97)

 冬の間静かだったわが家の庭が、3月の声を聞くや否や、にぎやかになった。

 毎日、50羽くらいのベニヒワの群れやコガラの仲間たちがやってきては、シラカバのこずえの種や、家のデッキの餌箱の中で、入り乱れて餌をついばんでいる。窓から差し込む光の中で、せわしなく躍る小鳥たちの影は、春の予感にあふれている。

 昼夜のガイドに追われ、たまるに任せていたごみを載せ、久しぶりに車を走らせた。わが家にごみ収集車は来ないので、フェアバンクスの町外れにあるごみ捨て場へ、適宜運ぶのだ。

 ごみ捨て場には、一片が2メートルくらいの金属製の四角いバスケットが、30個ばかり、ぐるりと並んでいる。ごみはその中へ放り込むあんばいだ。

 そのごみ捨て場の片隅には、いつも人の姿が絶えない屋根付きの場所がある。そこに放棄された衣類をはじめ、食器、ベビー用品、ソファ、ベッドのクッション、机、椅子、電子レンジ、自転車、自動車のタイヤ、懐かしのブラウン管テレビにDVD、家の窓やドアなど、まだ十分に使えそうな品々を、物色しているのだ。

 ごくまれだが、金属バスケットの中にまで入り込んで、一つ一つのごみ袋の中身をのぞいている人もいる。そんな強者(つわもの)たちに交ざって、ごみ捨て場で頻繁に出くわす、1台のオレンジ色の小型トラックがある。荷台にはいつもここで収集したとみえる、さまざまなガラクタが山積みだ。

 不思議なことにそのトラック、夜になると街中のバーの前でよく止まっている。トラックの主にとって、ごみ捨て場はまさに宝の山なのだろう。消費大国アメリカ、その別の一面を垣間見るような面白い光景である。

屋根付きの廃棄物置き場は、再利用可能な物を探すにはもってこい=米国アラスカ州フェアバンクスで屋根付きの廃棄物置き場は、再利用可能な物を探すにはもってこい=米国アラスカ州フェアバンクスで

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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