アラスカに暮らす

春祝うユニークな祭典 〜アラスカに暮らす(96)〜

2013年03月11日

アラスカに暮らす(96)

 1917年以来、地元で続く「ネナナアイス・クラシック」という祭典がある。米国アラスカ州フェアバンクスから、車で南へ1時間。タナナ川のほとりにある人口400人ほどの村、ネナナがその舞台だ。

 もともとはアラスカ鉄道の技術者たちが始めたと伝わるが、厚い氷に覆われたタナナ川の上に、長さ8メートルの丸太を立てる。それがいつ倒れるか-。つまり春の訪れとともに、川の氷がいつ割れて、流れ出すかを当てる賭けである。

 3月最初の日曜日は、その丸太を川の上に立てる日。アラスカ鉄道ネナナ駅前にある市民センターと、目の前の通りでは前日の土曜日から綱引き、リンボーダンス、フラフープ、土地柄らしい発情したヘラジカの鳴き声まねコンテスト、高校生のバンド演奏なども加わり、一足早い春の訪れを祝う祭りの雰囲気を盛り上げる。

 私はバナナ早食い競争に参加したが、規定時間の1分以内に2本食べるのがやっとだった。これらのコンテストにはそれぞれ、優勝者には2ドル、参加者には1ドルなどの小額な現金が配られる。それでも幾つかのコンテストに参加すると、ランチ代くらいは浮いてしまう。以前は路面にまかれた缶ビールを取る競争もあり、一度に53本のビールを袋に詰めた時には大いに興奮したものだが、最近では缶ジュース取り競争だけになってしまった。

 祭典のチケットは1枚約220円。地元の商店やガソリンスタンドなどで購入できる。狙い定めた予想日に、分刻みで数百枚も応募する強者(つわもの)もいると聞くが、今年は2枚応募した。

 去年、丸太が倒れたのは4月23日の午後7時39分。日本円で3200万円ほどの賞金は、その時間をぴたりと当てた、ただ一人の該当者に贈られた。

白黒に塗られた丸太を氷結した川の上に立てる作業と、それを見守る人々白黒に塗られた丸太を氷結した川の上に立てる作業と、それを見守る人々

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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