アラスカに暮らす

再び活躍エンジンNo.1 〜アラスカに暮らす(95)〜

2013年03月04日

アラスカに暮らす(95)

 機関車エンジンNO.1が、米国アラスカ州フェアバンクス近郊の金鉱村を結ぶ鉄道としてやってきたのは1905年。ゴールドラッシュの終息とともに現役を退き、23年にかまの火を落とした。

 その後、アラスカ鉄道フェアバンクス駅で展示されることになったが、時代の変遷とともに多くの部品が失われ、鉄くず同然にまで朽ち果ててしまう。91年に散逸していた部品の幾つかが発見されたのを機に、エンジンNO.1修復の機運が高まる中、保存会が結成される。個人、会社、公的機関による資金援助も得、こうして数万時間を要する修復作業が始まった。

 そもそもエンジンNO.1と、北海道最初の機関車が兄弟だと知ったのは、エンジンNO.1の日本語解説の作成を頼まれたことがきっかけだった。その作業の過程で、製造番号が刻印されたエンブレムが、昔作った「弁慶号」のプラモデルのそれと、共通のデザインであることに気がついたのだ。

 往時の姿によみがえったエンジンNO.1は、同時代の外輪船や建物が集められたフェアバンクス市内のパイオニアパークにある保管庫で維持管理されている。独立記念日などの祝祭日に子ども連れの家族や観光客を乗せ、元気に煙を吐いて公園内の周回軌道を走っている。

 「こいつの兄弟は日本へも渡ったんだねえ。皆さん、エンジンNO.1にもぜひ会いに来てください」

 保存会のメンバー、ダンさんが感慨深げに語る。米国最果てのアラスカと日本最北の地北海道。海を隔てた2つの北国で、その近代史の黎明(れいめい)期に兄弟機関車が活躍したことは、歴史のロマンといえよう。各車体に刻印されたポーター社製造番号は、義経号368、弁慶号369、しづか号672、エンジンNO.1は1972である。

7月4日の独立記念日など、祝祭日に運行されるエンジンNO.1と保存会メンバーのダンさん=米国アラスカ州フェアバンクス市内のパイオニアパークで7月4日の独立記念日など、祝祭日に運行されるエンジンNO.1と保存会メンバーのダンさん=米国アラスカ州フェアバンクス市内のパイオニアパークで

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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