アラスカに暮らす

日米で活躍 兄弟SL 〜アラスカに暮らす(94)〜

2013年02月25日

アラスカに暮らす(94)

 昨年11月の北海道、小樽の町は冷たい雨にそぼぬれていた。小樽は北海道鉄道発祥の地。新橋と横浜を結ぶ日本最初の鉄道の開業に遅れること8年、1880(明治13)年11月に、小樽市の手宮と札幌を結ぶ幌内鉄道が開業した。

 当時手宮駅のあった場所は現在、小樽市総合博物館となっている。博物館入り口をくぐると、機関車「しづか号」が迎えてくれる。カウキャッチャーと呼ばれる三角に突き出したスカート状の動物除(よ)け、じょうごのような煙突、煙突後部の鐘などの特徴的な姿は、西部劇からそのまま抜け出してきたような印象だ。

 幌内鉄道は、米国ペンシルベニア州ピッツバーグにあったH・K・ポーター社製の機関車計8両を輸入。そのうち6両には「弁慶」「義経」「しづか」など、日本の歴史上の人物の名が付けられた。ところで弁慶号たちの弟分に当たる同社製の機関車が、アラスカ州フェアバンクスで動態保存されていることを、ご存じだろうか。

 今をさかのぼること100年以上前、ゴールドラッシュに沸くフェアバンクスの金鉱鉄道で活躍した機関車だ。弁慶号などよりは一回り小さく、地元ではエンジンNO.1の愛称で親しまれる。

 弁慶号を展示しているさいたま市大宮区の鉄道博物館で、展示物を解説しておられる新井哲夫さんに、話を伺うことができた。新井さんは現役時代、駅長を2度も務められた鉄道マンだ。

 「アラスカに弁慶号の弟がいるとは、実に興味深い話です」

 壁にある幌内鉄道の古い写真の中に写る橋の構造が、昔のフェアバンクスのそれと、うり二つであった。

 「本州は英国から鉄道技術を導入しましたが、北海道は米国からでした。そのためでしょう」。新井さんがよどみなく解説してくれた。

フェアバンクスで現存する機関車エンジンNO.1の兄貴分「弁慶」と、その解説をしてくれた新井哲夫さん=さいたま市大宮区の鉄道博物館でフェアバンクスで現存する機関車エンジンNO.1の兄貴分「弁慶」と、その解説をしてくれた新井哲夫さん=さいたま市大宮区の鉄道博物館で

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

地球のいのち、つないでいこう

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ 記事全文へ バックナンバー一覧 記事全文へ 一覧 一覧 一覧 一覧 一覧 一覧