アラスカに暮らす

冬眠中は目が凍る!? 〜アラスカに暮らす(68)〜

2012年07月16日

アラスカに暮らす(68)

 今年の夏は雨ばかり。まるで日本の梅雨が内陸アラスカにもやってきたかのようだ。6月以降、1日に1度も雨が降らなかったのはほんの数日。先日も、ひょうを伴った夕立が森の下草に白いお化粧を施していったばかり。去年始めたオーロラ観測キャビン造りも、いよいよ外壁などを取り付ける最終工程に入ったのだが、この雨によって作業はしばしば中断しがちだ。

 さて、昨日も、母屋から100メートルほど離れた建築現場へ向かって歩いているその時のこと。ぴょん、ぴょん。青々と生い茂る夏草のたもとで、この森では見たことのない動きをする生き物と出合った。

 かさかさ。くさむらの中から音が聞こえてくる。「おや?」。目の前に飛び出してきたのはなんとカエルだった。「こんな山の中まで、雨に誘われてやってきたのかな」。カエルを両手でくるむように捕まえた。体長は5センチ弱。両目から口にかけての黒い筋、お尻から背中を通り口に向かってと、両後ろ脚に白土色の帯があり、体は灰褐色。アラスカ北極圏以北にも生息するカエルの仲間で、唯一の両生類、「ウッドフロッグ」だ。

 ウッドフロッグは、気温が氷点下になると細胞や器官の水分を体外に押し出し、代わりにブドウ糖を吸収して凍結防止剤として蓄えるなどの特殊な機能を利用し冬眠する。普段黒い目は、冬眠中は凍って真っ白になり、心臓は完全に止まるという。

 「かわいい! パパ飼ってもいい?」。子どもたちのサーモン釣りキャンプから帰ってきた息子は、ウッドフロッグを見つけるや否や、手のひらに乗せて大喜び。早速、捕まえたハエを目の前に歩かせたら、目にも留まらぬ早業で長い舌を伸ばし、一口にのみ込んでしまった。

わが家の森で初めて出合ったウッドフロッグ。息子は餌になる虫を捕まえては与えることに夢中だ=米国アラスカ州フェアバンクス郊外のわが家の森でわが家の森で初めて出合ったウッドフロッグ。息子は餌になる虫を捕まえては与えることに夢中だ=米国アラスカ州フェアバンクス郊外のわが家の森で

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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