アラスカに暮らす

冬の入浴の一工夫 〜アラスカに暮らす(43)〜

2011年12月05日

アラスカに暮らす(43)

■“水要らず”せっけん 活躍

 この季節には、といっても氷点下25度以上の場合だが、庭に設置してある約2メートル四方の冬の穴釣り用テントの中に、母屋のまきストーブで作った湯をバケツで運び込み、湯あみをするのが楽しみの1つである。

 テントはその用途から床がない。地面の上にかぶせる構造なので、角材でこしらえたすのこを敷けば水はけもよく、プロパンストーブをたくことで、テント内は20度近くまで暖かくなる。

 ストーブは、約20リットルのプロパンガスが入る樽(たる)形のタンクに直接つながれる。熱を発するストーブの明かりは、暗いテントの中で赤々と浮かび上がり、バケツから、もやもやと立ち上る湯気にも反射して、サウナのような気分を演出してくれる。

 バケツに入る湯は約15リットル。体を洗うには十分な量だ。記録的な暑さだった秋の日本から戻って早々のフェアバンクスは、11月中旬としては観測史上最低の気温を記録し、氷点下40度級の寒波の中で凍えていた。

 ここまで寒くなると、さすがに野外での入浴には尻込みしてしまう。かといって、シャワーを浴びに街まで出かけるのも面倒だ。

 そんなときには、「ノー・リンス」、つまり「すすぎ不要」という名前の液体せっけんとシャンプーでちょっとした入浴気分を味わうことがある。

 ともにプラスチックボトルに約240ミリリットル入り、アウトドアショップで350円くらいだ。ボトルには「キャンプ、軍隊、トラック運転手、ハンターや釣り人に」と書かれている。裏面には、スペースシャトルの絵もあしらわれ、「NASA御用達」という文句が効果の程を期待させてくれる。

 いずれも適量を体や髪に直接振りかけ、乾いた布で拭き取るだけという簡単さ。水を一滴も必要としないのが最大の特徴だが、体中に香水のようなものを塗りたくっている感じがしないでもない。

 洗髪に限っていうならば、頭皮の油脂分まで落としてはくれないので、あくまでも一時的な気分転換と、割りきって使うことにしている。

水道のない暮らしの強い味方、すすぎ要らずの液体せっけん(左)とシャンプーを持つ息子=米国アラスカ州フェアバンクス郊外の自宅で水道のない暮らしの強い味方、すすぎ要らずの液体せっけん(左)とシャンプーを持つ息子=米国アラスカ州フェアバンクス郊外の自宅で

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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