アラスカに暮らす

日本の保育所で講演 〜アラスカに暮らす(40)〜

2011年11月07日

アラスカに暮らす(40)

■子どもたちと出会う旅

 毎年、アラスカでの夏のガイドの繁忙期が一段落すると、日本に1カ月ほど帰国する。ここ数年は、滞在中に何カ所かを巡り、スライドを上映しながらのライブトークなどを開いている。

 今年は東京、京都、岐阜県多治見市などで6回の講演に臨んだ。新潟では初体験となるプラネタリウムでのショーも加わり、例年になくにぎやかだった。保育所でのイベントも初めて企画された。夏に北極圏を一緒に旅した香川県の保育士の方が段取りを整え、講演会が実現したのだ。

 訪れたのは香川県宇多津町。小さな子どもたちにアラスカのことをどう伝えたらいいのか。当初、そんな不安に、子どもだからこそ真剣に向き合わなければという気負いも交じり、緊張した。が、開演前に訪ねた保育所では、園児たちがひげ面の僕に臆することなく接してくれたことで、ほっとした。

 オーロラの動画を上映し、いつもの2倍はゆっくりとしゃべりながら、アラスカでの生活やクジラ猟、野生動物などの話を披露した。講演が終わり、実家のある埼玉県に帰郷早々、担当の保育士からこんなメールをいただいた。

 「本当に豊かな時を過ごすことができました。子どもたちも興奮冷めやらず、たくさんお話をしてくれました。オーロラがきれいで泣きそうになったこと、動物たちが見られてうれしかったこと、牧栄さんが帰るとき、寂しい気持ちになったこと…子どもたちの心が動いたのが伝わってきました!」

 アラスカという辺境に住んだということが縁で、日本にいたとしても出会うことのなかった子どもたちと触れ合う機会が得られた。短い時間であっても、園児と向き合う時間が持てたことが素直にうれしかった。

 メールはこう結ばれていた。「この機会を通して、豊かな感性が育まれ、また1つ輝きが増しました」

 「豊かな感性」とは人と人との触れあいの中からこそ生まれ、育まれるものなのだろう。子どもたちと出会うこんな旅もいいなとつくづく感じた。来年もまた日本のどこかへ旅ができたらと思う。

園児たちを前に白夜の説明をする筆者=香川県宇多津町の町立中央保育所で(柴田泰三さん撮影)園児たちを前に白夜の説明をする筆者=香川県宇多津町の町立中央保育所で(柴田泰三さん撮影)

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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