アラスカに暮らす

自然の恵み生かした生活 〜アラスカに暮らす(28)〜

2011年08月01日

アラスカに暮らす(28)

■太陽熱で温水シャワー

 青空に浮かぶ白い雲の隙間から、暖かい陽光が降り注ぐ。自宅の脇にすのこを置き、下着を全て脱いで、その上で日光浴をする。時折、吹き抜ける涼しい風に、森のシラカバの葉の緑がきらきらと輝いている。

 野外で丸裸になることなど、日常生活でまず想像できないだろう。ここでは別だ。普段、お日さまを浴びることのない体の各部が、陽光の気持ちよさにスキップしているような気分になる。

 ログキャビン(丸太小屋)から張り出した頑丈なはりには、大きなビニール袋がつるしてある。夏は、この「サンシャワー」という一辺60センチの厚手のビニール製の水袋が活躍する季節だ。そこから出ているホース先のシャワーヘッドを引くと、温かいお湯が雨のように落ちてくる仕組み。原野暮らしでシャワーを浴びられるのは何よりうれしい。

 袋には、40リットルの水が入る。日の当たる面は透明で、反対側は真っ黒。太陽の熱を効率よく吸収し、中に蓄えられた水をじわじわと温める。日差しの強い日なら、3時間程度で40度を超える湯ができる。家族3人分のシャワーを賄え、重宝している。

 雨水は洗濯に使える。雨の降る日、屋根のひさしの下に、20リットルが入るアラスカで普通サイズのバケツや、クーラーボックスを置いておけば、一晩であふれるほどたまる。

 バケツは下着やTシャツ、クーラーボックスはジーンズや作業着を洗うのにちょうど良い。ここで登場するのが、こちらで売っている「洗濯棒」なるものだ。外見はラッパに見えなくもないが、先に円すい状に開いた金具が付いていて、その内側は二重構造。

 柄を持って、金具の部分を水の中で上下することによって、ゴボゴボと水が強力にかくはんされ、その力で衣類の汚れを押し出す。洗濯棒の洗浄力は侮れず、5分もすると水は真っ黒だ。

 きねの中のもちをこねるように見えるこの作業、案外、体力も必要とする。まき割りのための筋力も強化されるようで一石二鳥だ。雨水を大量に保存するには、ごみ捨て用の大型のバケツが便利である。

左から、洗濯棒、ポリバケツ、手前にサンシャワー=米国アラスカ州フェアバンクス郊外の自宅で左から、洗濯棒、ポリバケツ、手前にサンシャワー=米国アラスカ州フェアバンクス郊外の自宅で

プロフィール

河内牧栄(かわうち・まきえい):ネーチャーガイド兼写真家

1966年、岐阜県各務原市生まれ。日本大芸術学部卒業後、大手出版社に勤務。退社後、30代で一人旅をしたアラスカの大自然に魅せられ、2003年に移住した。ネーチャーガイド兼写真家。アラスカ州フェアバンクスに妻(48)と長男(7)の3人暮らし。

ホームページ:「ネイチャーイメージ」

※「アラスカに暮らす」は中日新聞朝刊に毎週月曜日に連載されています。

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